第247回「原発事故制御不能に至らせた手順の悪さは最悪」

 15日は福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室で爆発、4号機でも使用済み核燃料プールの周辺で水素ガス爆発とみられる火災が起きました。測定される放射線量がマイクロシーベルト毎時の単位から、千倍のミリシーベルト毎時の単位に跳ね上がる有様です。原子炉と周辺装置内の事故制御は不能に陥ったとしてよいでしょう。

 格納容器の上部にある使用済み核燃料プールの冷却が出来ていないために水素ガスが発生した結果のようです。4号機は定検で停止中でしたから、同じ状態の5、6号機にも心配があります。既にプールの水位低下が伝えられています。原発の核燃料は崩壊熱を持っているので停止中でも冷やさねばなりませんから、原発所内の電源喪失を何日も続ける方が「常識外れ」なのです。

 1、2、3号機ともに消防車のポンプを使って無理やり海水注入で冷やしてきたのですが、それが継続できるか危惧されます。電源車は早くから到着しているのですから、早期に原発側の電源で冷却系を動かせるように整備を急がなかった手順の悪さか悔やまれます。

 ネット上で翻訳されている《■「放射性物質の放出は数ヶ月続く可能性」ニューヨーク・タイムズ》に、米国で設計された同じ型の原発を知る技術者のコメントがあり「問題は津波で浸水した地下室にある切り替え設備で電気系統の接続を行わなければならないことにある。『現地に発電機があっても、まず地下から水を汲みださなければならない』とのことだ」と伝えています。津波の海水をかぶった受電施設は確かに面倒ですが、超緊急事態ですから突貫工事でやればこの3日間でどうにかなったのではありませんか。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発」+「地震」関連エントリー

 ※注:以上を16日に更新しました。



 =====================以下、15日朝のオリジナル=====================

■『メルトダウン』に至らせた手順の悪さは最悪■

 福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室で爆発があったとの報道を聞けば、部分的な炉心溶融から原子炉を崩壊させる『メルトダウン』に至ったと考えるしかありません。原子炉格納容器の現状を推測すれば、核燃料が溶けだして下図のようになっていると思われます。

 【15日午後6時に追加訂正】その後の進展を見ると4号機からの汚染の方が深刻で、2号機では朝に推測したほど大規模なメルトダウンが起きていないようです。「Blog vs. Media 時評」コメント欄に指摘があるような「水素ガス充満説」の方が妥当かも知れません。なお今回分でも電源喪失の早期回復を怠った問題点指摘は有効だと思います。  これまで爆発があったのは建屋の上部ですが、今回の圧力抑制室は最も下部に設けられています。炉心で発生した軽い水素ガスは建屋上部に向かいます。下の圧力抑制室に水素ガスがあるためには、核燃料が溶け高温になって圧力容器を破り、格納容器の底をはって圧力抑制室に流れ込むしかありません。

 2号機『メルトダウン』で1、3号機も心配になってきます。消防車のポンプを使って無理やり海水注入で冷やしてきたのですが、それが継続できるか危惧されます。電源車は早くから到着しているのですから、早く原発側の電源で冷却系を動かせるように整備を急がなかった手順の悪さか悔やまれます。

 ネット上で翻訳されている《■「放射性物質の放出は数ヶ月続く可能性」ニューヨーク・タイムズ》に、米国で設計された同じ型の原発を知る技術者のコメントがあり「問題は津波で浸水した地下室にある切り替え設備で電気系統の接続を行わなければならないことにある。『現地に発電機があっても、まず地下から水を汲みださなければならない』とのことだ」と伝えています。津波の海水をかぶった受電施設は確かに面倒ですが、超緊急事態ですから突貫工事でやればこの3日間でどうにかなったのではありませんか。

 【追補】4号機で爆発があり、猛烈な放射能放出が起きています。格納容器の上部にある使用済み核燃料プールの冷却が出来ていないために水素ガスが発生した結果のようです。4号機は定検で停止中でしたから、同じ状態の5、6号機にも心配があります。原発は停止中でも冷やさねばなりませんから、電源喪失を何日も続ける方が「常識外れ」と言われて当然でしょう。