第298回「インドの大気汚染は中国以上で世界最悪の報道」

 北京五輪で大気汚染が懸念されたことなど中国の環境汚染は知られていますが、同じ大人口国であるインドはさらに大気汚染度が高くて世界最悪――「大気汚染、インドが世界最悪=米エール大など132カ国調査」(時事通信)と報じられています。サイロなど社会基盤整備が遅れてせっかく収穫した穀物を大量に腐らせる国ですから、行政による規制が出来ていないようです。

 「エール大などは水資源や大気、森林、農業など環境に関連する計10分野を総合的に調査し、国別番付を発表した。インドは総合ランキングでは125位だったが、大気は100点満点中3.73点で最下位。大都市の大気汚染が深刻化しているとされる中国は19.7点で128位だった」とあります。大気汚染度は著しく進んでいる訳です。

 WHOの世界調査「Exposure to outdoor air pollution」で都市別に「PM10」エアロゾル粒子の濃度を見ましょう。単位は1立方メートル当たりのマイクログラムで、インドの最高は北部パンジャーブ州のルディアナ「251」、首都デリー「198」、最大の都市ムンバイ「132」です。これに対して中国では最高がほぼ国の中央、黄河沿いの蘭州「150」、首都北京「121」、商業の中心地上海「81」で、差は歴然です。さらに、この値は先進国ではほぼ「30」以下です。

 「PM10」粒子濃度だけに限ればもっと高汚染都市は世界にあって、イラン西部のアフヴァーズ「372」、モンゴルの首都ウランバートル「279」が目立っています。しかし、10億人を超える大人口で国土も広い中印両国で環境汚染が深刻である点は大きな問題です。インドは本格的な経済発展が立ち上がったところであり、すでに一定の経済水準に達した中国ですら規制ができていないのですから無秩序状態が長引く恐れがあります。健康被害が顕在化する恐れ大です。

 中国からは今月、《都市のごみ捨て場と化した農村、「なぜわれわれの玄関先に捨てるのか…」―中国》(レコードチャイナ)といった気になる環境破壊ニュースも伝えられています。経済発展の速さにゴミ焼却施設整備が追い付かないのでしょう。「湖南省常徳市郊外の漢寿県。風光明媚な農村は今、ごみの山と汚水に悩まされている。都市部から持ち込まれた大量のごみが田んぼのあぜや道端、用水路、川などいたるところに捨てられているのだ。埋め立て処分場とされた場所には10メートルを超える高さにまでごみが積み上げられ、ビニール袋がひらひらと舞っている。夏は鼻をつく異臭が漂い、ハエが大量に発生する」

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