第378回「日本に続き中国も超特急で超高齢社会へ突入予定」

 中国の「一人っ子政策」が終わりそうとの報道が目立ちます。しかし、既に超高齢社会へ入った日本と、中国は似た年齢構成で30年遅れて後を追っており、富む前に老いてしまうと恐れての政策転換は手遅れのようです。65歳以上の老年人口が総人口に占める割合「高齢化率」が14%を超えると高齢社会、21%超えなら超高齢社会と分類します。中国は2025年過ぎには高齢社会に、2035年過ぎに超高齢社会に入ると予測され、子供を増やすなら早期に方向転換するべきでした。また、先行する日本社会の老齢化も間もなく無為無策であってはならないレベルまで深刻化します。

 日中の老齢化カーブが比較しやすい老年人口指数の推移グラフを国連推計から作りました。老年人口の生産年齢人口(15〜64歳)に対する割合です。  1995年に高齢社会、2007年に超高齢社会になった日本のカーブとそっくり並行して、中国の高齢化が進みます。女性が生涯に生む子の数、合計特殊出生率が2005年に1.26まで下がった日本は実質的に一人っ子政策をしていたようなものでした。また外国人が人口の2%もいない「移民拒絶国」ですから、国民の老齢化がストレートに反映されます。中国では不法入国者の報道が聞かれ始めましたが、数は知れています。

 財経新聞の《中国の一人っ子政策:2016年から撤廃も、急速に進む高齢化に対応》は「急速に進む高齢化に対応するため、一人っ子政策を撤廃することが政府の内部で検討されており、早ければ2016年から実行される」と伝えました。しかし、同時に「第6回人口調査では女性の合計特殊出生率が1.18」しかなく、この数字は不妊や独身などの女性を含まない過大なものだったとの指摘も紹介しています。人口統計の不備で高齢化が隠れている恐れがあります。

 子どもが多いアジアの大人口国、例えばインドネシアが高齢社会になるのは2045年ごろ、超高齢社会は2075年ごろです。巨大人口を賄う食糧供給の弱点を抱えて高齢化に突き進んでいる中国と、大きな差があります。《コラム:中国「二人っ子政策」は遅きに失する》など、海外メディアに政策転換の効力に懐疑的な論調が目立ちます。

 ところで、2050年には中国の老年人口指数は現在の日本並みの40%になってしまいます。いま農村部でゼロに等しい社会福祉制度は整備できているでしょうか。一方、2050年の日本、70%を超える状態も想像しにくいものがあります。是非とも指数50%に達するこの数年の間に、このまま進んで世界に対して競争力がある経済運営が出来るのか、国家の行く末を検討しなければなりません。

 1999年に書いた第73回「非婚化の先に見える多民族社会」を読み返して、21世紀に漠然と願望された出生率の本格回復はありませんし、拡大期待の国際結婚ブームも萎縮しています。海外移民導入を拒んだまま、極東のこじんまりした国にしてしまうのか、大局的な国家進路選択の時は迫っているように見えます。

 【参照】第368回「生涯未婚率は男35%、女27%にも:少子化対策無力」
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