鳥インフルエンザ患者、秋以降で40人と再流行入り [BM時評]

 中国での鳥インフルエンザ患者は昨春の流行が一度は収束した後、秋以降に再発、15日で40人に達しました。困ったことに中国政府の衛生当局は収束後は知らん顔をし、患者数もメディアが地方当局から集めています。H7N9型インフルエンザがパンデミック、感染爆発に移行するか、世界が注目している中で、WHOにもきちんと報告しない中国政府の態度は無責任と言わざるを得ません。次に中国メディアによる患者発生マップを引用します。昨年10月以降で14日までに39人の患者があったとされており、これとは別に15日に浙江省で12人目が報告、少なくとも40人は超えて完全に再流行入りとみられます。昨年7月までの流行では患者135人死者45人でした。  最多は広東省16人、15日に伝えられた2人が新規患者ならば18人になります。次いで浙江省12人、上海市と香港の各3人、江蘇省と福建省の各2人、それに貴州省と台湾の1人ずつです。幸い、ヒト・ヒト感染には至らず、鳥からヒトへの感染しか見つかっていないようです。しかし、第一報段階から危篤で伝えられるケースが相変わらず目立ちます。第356回「感染爆発寸前、鳥インフルエンザの困った事情」で指摘したように、健康保険制度の不備から医療費支払いを心配して具合が悪くなっても医者にかからない住民が多いのです。感染したら直ぐに抗ウイルス剤で叩いてしまう医療常識が役に立ちません。

 WHOは「鳥インフルエンザH7N9型の確定患者報告」ページを用意して、流行状況を世界に提供しています。ところが、報告は10月に2人の患者発生を伝えたのを最後に途絶えたままです。インフルエンザに罹りやすい寒い季節、旧正月の帰省大移動を前にして、患者発生情報も出さなければ何の防止対策も無い中国政府の無気力ぶりは困ります。外部で見ていると新年になってからの患者数や死者数が何人なのか、きちんと把握できません。

 《追補》15日夜の中国テレビニュースで「上海1人」「浙江省4人」「福建省1人」の新規患者があるように伝えられています。これが事実ならば秋からの患者は一気に48人にもなります。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー