第404回「鳥インフルエンザ再流行、患者100人突破へ」

 中国で鳥インフルエンザH7N9型の再流行が本格化しています。北京にも飛び火、人民日報の報道を拾う限りで昨年10月から患者97人が出ており、浙江省では連続15日も患者発生が続き100人突破が迫っています。昨春から夏の流行が135人だった点を考えると流行規模は匹敵します。ヒト・ヒト感染には至らずとされますが、広州では父と娘の感染が報告されています。昨年に比べて、感染爆発を心配する海外に対し十分な情報提供がされない状態がますます顕著になってきました。14日までに患者39人と伝えられた分布地図に24日現在の患者数を付加して掲げます。  北京で8カ月ぶりに患者が出ました。ハトを購入して食用にしていたと伝えられています。市省別で最も多くの患者を出しているのは上海の南にある浙江省で39人(14日現在は11人)。ついで香港の北にある広東省の33人(同16人)と、過去10日間で急拡大です。23日は浙江省だけで1日5例も発生しました。上海と福建省も8人ずつに増え、東南部全体が鳥インフルエンザウイルスに広く汚染されていると知れます。

 NHKの《H7N9型 中国研究者「厳重な監視必要」》は対策を話し合う国際会議の状況を伝えています。《中国の衛生当局の研究者は、H7N9型はヒトに感染しやすいように変化しているとしたうえで、ヒトからヒトに次々と感染する新型インフルエンザにはなっていないものの、ウイルスは今後さらに変化する可能性もあり、厳重に監視していくことが必要だと述べました》

 人民日報の伝える現地の記事によると、広州の父親が発病と診断されてから6日後に娘が軽症インフルエンザになっています。父親は診断前からインフルエンザ症状があり、家族との濃厚接触は避けていたとされています。家族も食事のために市場に出掛けるので鳥との接触は避けられないと説明されます。

 感染が広がる中で旧正月(春節)の帰省大ラッシュが迫っています。生きた鳥を扱う食習慣を変えないと感染拡大を防ぐのは難しいと、現地の医療関係者も言っています。旧正月に向けて生きた家禽を扱う市場取引が活発になり、ウイルスへの暴露可能性が高まります。この時期の流行発生の背景だそうです。

 食習慣問題と第356回「感染爆発寸前、鳥インフルエンザの困った事情」で指摘した中国の医療保険制度の貧困が、大きなネックになると考えられます。昨年は3月からの流行でした。今年は旧正月を前にして100人規模で起きているのですから、日本国内なら相当に緊張感が高まると思えますが、中国政府は高を括っている感じがあって心配です。

 【参照】インターネットで読み解く!「鳥インフルエンザ」関連エントリー