官房機密費の持ち逃げにメディアは甘過ぎる(20091122)
 総選挙で政権交代が決まった2日後の9月1日、河村建夫・前官房長官が官房機密費2億5千万円を内閣府に請求、半月後には官邸の金庫を空っぽにして現政権に引き継いでいたことが分かりました。鳩山首相は「政権交代が起きる時って、こういうものじゃないか、という思いもある」と言っているそうですが、マスメディアが「そういうこともあるでしょう」と引き下がるなんてとんでも無いことです。毎月1億円ずつ請求して処理できていて、突然、2.5倍も引き出して「持ち逃げ」したのに、メディアの論調に怒りはあまり感じられません。

 グーグルのブログ検索で調べると過去1日内に「官房機密費」について書かれたブログは1451件で、かなり関心が高いと思います。「官房機密費:使途を追及」(naotanの部屋)は「選挙関係で使われた可能性が高い」と述べた福島消費者相の言葉を引きながら、「中途半端に機密費額がわかり使途がわからないと非常に不満に思う。疑惑ばかり想像してしまう。このままだと使途が非公開なら使いたい放題ということになる」と怒っています。

 「機密費はすべて公開すべき 」(続 wankoのブログ)も「あたしの日本の政権に対する不信のメーターの針は一気に振り切れてしまった。莫大な機密費を手にして民主党に政権を渡すわずか半月の間に日本の国益に見合うような大きなことを麻生政権はやったのか」「退陣する直前に多額の官房機密費を手にして消え去るというのは、まさにあのフイリピンの故マルコス大統領がハワイに亡命する直前まで、多額の国家資産を横領したことと根は同じ」「前麻生政権が退陣の半月前に2億5000万円もの官房機密費を国益のためにどう使ったのかをすぐさま明らかにすることは現鳩山政権の責務である」と主張しています。

 「官房機密費政権交代決定 二日後 2億5千万円 首相使途公表も検討」(ひげログ人)はもっと辛辣です。「ヒラの官房長官は、自民党時代のことを追及しないから、今のことは追及しないでくれとでも言いたげだ」「使途不明で使い放題にしているというのは、国民の目から見ると、額の違いがあっても、政治家などというものは、同じ穴のムジナのようだ」「問題が広がるばかりだ。支持率が下がっていくのが目に見えるようだ」

 メディアの怒りの無さは、例えば毎日新聞は「官房機密費:政府公表 先手で批判かわす狙い 思惑は不発気味」で「機密費の透明化を求めていた野党時代の民主党の方針転換への批判が強まる中で、自ら公表する姿勢を示して批判を弱める狙いがあったとみられる。ただ麻生政権末期の2・5億円の不透明な支出を追及せずに穏便に済ませる姿勢は、野党時代の主張とかけ離れている上、具体的な使途の公表には踏み切らず、思惑は不発気味だ」と書いていて、何か腰が引けていて、他人事のようです。 (了)


▼ご感想はメールで
8.目次 9.Top