30前後世代に明確な結婚回帰:国勢調査を分析(20110709)
 2010年国勢調査の抽出速報が利用できるようになり、独自に考え出した手法で分析してみると、非婚化・晩婚化の傾向が言われる中で意外にも30歳前後の若い世代で結婚率が強く回復していました。生涯未婚率はなお高まる見込みではありますが、天井知らずに上がっていく恐れは薄らぎました。現在20歳前後の世代でも男性で32%、女性は23%前後で止まる見込みです。

 国勢調査は5年ごとで、5歳の年齢階級別に婚姻関係の数字が出ます。5年前の調査で「40〜44歳」の世代は、今度の調査では「45〜49歳」のところに現れます。したがって過去の国勢調査結果を並べると、同一世代の行動を5年間隔でモニターできるのです。

 一番の注目は30〜34歳の世代が25〜29歳からの5年間に出した脱未婚ポイントです。男性では30歳をまたいだ脱未婚、すなわち結婚する率はずるずると落ち込む一方でしたが、最新5年間は24.9%でその前に比べ2.6ポイントもアップしました。女性では極めてゆっくりと増える傾向でしたが、大幅3.7ポイント増加の25.7%と、こちらも流れが変わりました。25〜29歳世代でも、男女とも従来傾向とは違う反転増加や下げ止まりの変化が読みとれます。

 生涯未婚率は人口学で50歳時点と定められています。今の若い世代がどうなるか、この5年間に年上世代が示した脱未婚ポイントが将来になると仮定して予測しました。男性32%、女性23%くらいで頭打ちになる点は、前回調査時に同じ予測をした第152回「20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ」のグラフがどこまで上がるか判らない勢いだったのと大きく異なります。

 結婚・婚姻の回復傾向を裏付ける社会調査に、国立社会保障・人口問題研究所の「第13回結婚と出産に関する全国調査・独身者調査」があります。様々な要因について調べていますが、端的な傾向を示すグラフをひとつ引用します。「ある程度の年齢までには結婚するつもり」と答えた結婚意思を持つ未婚者が調査のたびに減り続けていたのに、2005年にはっきり持ち直したのです。

 (※ 詳しい分析手法はパソコンでウェブをご覧ください) (了)

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