最悪レベル7より日経の原発『見切り』記事 (20110413)
 福島第一原発事故の深刻度を示す国際評価基準でチェルノブイリ級「レベル7」になったとの発表記事よりも、12日のショック記事は日経新聞の《東電の悪夢、問われる原発の合理性 吹き飛んだ2兆7000億円弱 産業部編集委員 安西巧》の方でした。ネット上で昼過ぎに知ってから日経の本紙紙面を朝刊、夕刊と探して見つからず、ようやく「ものづくり進化論 :技術×企業(日経産業新聞online)」にあることが判りました。

 事故による東電の株価大暴落で企業価値が2兆6564億円も吹っ飛んだことから始まるかなり長い記事です。結びの段落を引用します。「これほどやっかいな原発を電力会社の経営者は『国策事業』として背負い続けていくのか。株主は大事故を起こせば株価が暴落するリスクに耐えられるのか。そして危険を覚悟で事故処理に立ち向かう従業員を今後も確保できるのか――。電力会社のステークホルダーだけでなく、国民全体の電力事業への価値観が見直されるべき時期に来ている」

 反原発の思想も何もない、株式市場と経営の論理だけでもう原発依存は見切らざるを得ない指摘になっている点は説得力があるだけに新鮮です。

 スリーマイル島事故級「レベル5」でくい止められていたら、まだ釈明できる可能性があったでしょう。しかし、1カ月を経過して収拾の見通しは立たず、これからどれくらいの放射能が環境に出るのか、格納容器の下部が水素爆発で損傷している2号機は格納容器内に水がある限り高放射能汚染水の垂れ流しは終わりません。避難した住民多数は今後の生活を考えることも出来ません。超優良株を持っていたのに暴落で大損をした株主も痛いでしょうが、個々人の人生計画を滅茶苦茶にしている痛みは遙かに重大である点を指摘します。

 放射能の放出量を計算してみたらあまりに膨大で、国際評価基準のラインよりも完全に1桁上だった――だから2段階もレベルアップせざるを得なかった政府の事態認識の甘さには、もう驚かなくなっています。 (了)

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