六ヶ所再処理工場、完工せずの目処が立った!?(20090829)
 6月の「敗因は何と工学知らず:六ヶ所再処理工場」で国策原子力事業の技術音痴ぶりを断罪した核燃料再処理工場の試運転完了、即ち完工が1年以上と大幅に延期される事になりました。「47News」の「試運転、終了延期は1年以上 再処理工場、原燃が計画変更」が「1月に発生した高レベル放射性廃液漏れや、廃液の洗浄作業に使う機器の故障やトラブルが続発し、洗浄作業も3月から行われていないことが大きく影響した。2006年3月の試運転開始以降、終了時期が延期されるのは8回目。原燃は7月に当初予定の8月終了の延期を表明していた」と伝えています。その後の続報では来年10月完工とも言われます。

 再処理工場の技術についてウオッチしていれば、この延期が無意味であると見てとれます。高レベル放射性廃液をガラス固化体に溶融する国産技術にこだわって失敗を続けている訳ですが、実証されていない技術を実用に使うことこそ、全ての失敗の原因です。国産にこだわるならば同じ規模の実証試験をどこかでしてこなければなりません。成功する可能性は少ないでしょう。津島雄二・前衆院議員が「なぜ国産技術にこだわるのか。自信がなかったら外国の技術を取り入れるべきだ」とアドバイスしたのに従うなら、フランスに溶融炉を発注しなければなりません。この程度の延期ではどちらも出来ません。

 いま何から手を着けたらよいか分からないほど滅茶苦茶になった現場の状態を、元に戻すのに1年掛かるのなら理解できます。そして、本質的な見直しをしないまま再び同じ轍を踏むことが確実です。2兆円以上の巨費を投じた国策工場に「完工せず」の目処が立ったと申し上げるゆえんです。この愚かさも、政権交代があれば見直されるのかしら。 (了)


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