20代男性の3人に1人は生涯未婚の恐れ(20060718)
 2005年国勢調査の速報集計結果が公表され始め、65歳以上人口の比率21.0%は世界最高、15歳未満人口の割合13.6%は世界で最も低い水準と少子高齢化が歴然とした。しかし、大きな論点が語られていない。2000年国勢調査では独自に分析した結果、出会い系サイトなどが思わぬ力を発揮して第107回「非婚化の進展をITが阻み始めた」を書くほど非婚化に一定の歯止めが掛かった。今回はその傾向が進むかと楽しみにしていたが、結論から言うと、非婚化への歯止めは大きく息切れしてしまい、生涯未婚率上昇が加速した。男性なら今の30代後半は4人に1人、20代後半は何と3人に1人が生涯独身を通す可能性が高い。女性は男性より生涯未婚率は大幅に低かったが、今の20代、30代は同世代男性に急接近しそうである。

 分析の方法は5年ごとに実施されている国勢調査の特性を利用して、5歳階級の世代ごとに過去6回調査間の5年間で未婚率を減らした%ポイントを計算する。「脱未婚ポイント」と名付けて集計すると、各世代がどの時期に、どのくらい結婚してきたのか一覧できる。

 生涯未婚率は人口学上の概念で50歳時点での未婚率である。女性なら結婚しても子どもが出来る可能性が極めて低くなるので、そう定めた。男性でも50歳以上での結婚は少ない。若い世代の将来の結婚行動を見通す手段として、年上世代がそれぞれ直近の5年間にした「脱未婚ポイント」を積み重ねると仮定する。つまり、20代後半男性は現在72.6%の未婚率であり、30代前半世代の脱未婚21.6ポイント、30代後半世代の脱未婚12.0ポイント、40代前半世代の脱未婚3.8ポイント、40代後半世代の脱未婚1.1ポイント、50代前半世代の脱未婚0.6ポイントを合計した39.1ポイントしか未婚が減らないなら、差し引き33.5%が生涯未婚で残ると考える。

 50代以上は現実の未婚率、40代以下はこうして計算した推定の未婚率を採って生涯未婚率グラフにすると以下のようになる。2000年調査では40代、50代の男性に結婚熱が再燃して、動向次第では生涯未婚率を大きく動かすとも見えた。2005年になると、ずっと上の世代に比べると結婚への動きは活発ながら、2000年に見えたほどではない。例えば、50代前半男性は2000年までの5年間に1.1%も未婚率を下げたが、次の同世代は2005年までの5年間では0.6%下げただけだった。年上世代の結婚行動を年下世代も踏襲すると仮定すれば、このようになってしまう。

●生涯未婚率(%、40代後半以下は推定値)
   50代前:40代後
男性 14.0  16.7
女性  6.2  7.8

   40代前:30代後
男性 20.2  25.4
女性 11.4  16.2

   30代前:20代後
男性 30.2  33.5
女性 22.2  28.1

 2002年に実施された国立社会保障・人口問題研究所の「第12回出生動向基本調査・結婚と出産に関する全国調査・独身者調査の結果概要」は「現在結婚することに利点があると感じているのは未婚男性の6割(62.3%)、未婚女性の7割(69.4%)であった。逆に男性の1/3(33.1%)、女性の1/4(26.3%)は結婚に利点はないと考えている。男女とも利点を感じない人がわずかずつ増えており、とりわけ男性で明瞭である」と分析し、「利点がない」とする割合が20代後半の生涯未婚率推定値とほぼ同じである点が示唆的だ。

(「恋人あり」が増え、逆に「交際相手なし」も増える男女交際の両極端化や、同棲経験が25〜29歳で初めて1割に達したことなど、さらに多くが語られます。詳細はパソコンで親サイトをご覧下さい)(了)

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