食用油脂の見えざる恐怖と対策(20010623)

 スウェーデン・カロリンスカ大は医学雑誌「ランセット」6月2日号で、「魚の脂が前立腺ガンを防ぐ」という趣旨の論文を発表した。国内では前立腺ガンなど特殊なガンではないか、と思われようが、欧米で発生が多いガンだから研究材料として取り上げられているのであり、実は「魚の脂がガンを防ぐ」と読んでかまわないし、逆にガン化を促進している油脂が身近に存在する。

 6272人のスウェーデンの人を30年間追跡したら、魚を食べなかった人は、適度かあるいは多量に食べた人々より前立腺ガンの頻度が2倍ないし3倍にもなったという。食生活や体脂肪、喫煙、飲酒習慣などをおさえた疫学的研究であり、雑多な要因から魚の脂摂取だけの影響を分離するモデルを使っている。

 この論文には先行研究があり、引用論文の1番目を見れば、確定にはまだまだ材料不足であるものの、試験管内、あるいは動物の実験で「n-6脂肪酸(n-6fatty acids)」が乳ガンや前立腺ガンの進行と関係している証拠があると指摘している。「n-6脂肪酸」とは、成人病を予防するとして長年にわたり摂取が奨められてきた「リノール酸」を中心にした油脂である。

 「そんなことが」と疑われる方には「ランセット」ウェブの論文検索で試してもらえるとよい。この医学雑誌だけで「n-6 脂肪酸」とガンとに関係する論文は3400以上存在する。(次項へ)


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