「読者の声」掲示板

 読者の皆さんから寄せられた感想や意見、情報を、新着順に紹介します。(98/7-98/11)



◆「未来エネルギー核融合の挫折」について、理系の大学生からのメールと
                     団藤のコメント:------11/8追加

 未来エネルギー・核融合の挫折 を興味深く拝読させていただきました.

 私は(略)量子系の勉強をすることになるようで,さてその先をどうしようかと考えているところでした.結局人類が継続的な発展を続けるためにはエネルギーさえあれば何とかなりそうだ,という考えのもと,量子系の勉強を生かして核融合の研究に携わりたいなと考えていました.

 各種事情はわかります.様々な要因により量子系のエネルギー開発が下火になるのはやむを得ないことかもしれません.

 しかし,(略)省エネというのはエネルギー問題の抜本的な解決方法ではありませんよね.工学部ですからニーズのあることに対して研究を行うのは当然であり,それを否定してしまうと工学部の存在を否定したことになりますので私もそれは否定しませんが,現在の人知が及びそうな範囲でのエネルギー問題の抜本的な解決策として,核融合はやはりその本命なのではないでしょうか.

 確かにあと100年先の技術をもって核融合開発に挑めば現在からスタートするよりも,もしかしたら短期間で実現可能かも知れません.それにあと100年分くらいは化石燃料にも余裕があるから大丈夫,という意識もあるのでしょう.

 世のイデオロギーは生き物であり,確かに何が正しいかはわかりません.私なんぞよりも博学な方々の深慮の上での決断でしょうから,それはそれで正しい決断なのかも知れません.

 しかし,50億年後の太陽消滅までに人類は太陽系から脱出しなければならない!....という観点に立つと,どうしてもこの核融合開発打ち切りということが残念に思えてきます.

 ボスであるアメリカが核融合を断念したときはかなりの衝撃でした.何だか夢が潰えたような気がしてなりませんでした.

 またいろいろと考えてみることにします.

 ご多忙なところにわけのわからないメールを送ってしまい,誠に申し訳ございませんでした.団藤様の記事は理系的な裏打ちが確かで非常に興味深く面白いです.今後も団藤の記事を拝読させていただきたいと思っております.ご健勝のほどをお祈り申し上げます.

◇団藤からコメント

 誰かが正しい判断をしたとは考えない方が良いのではありませんか。「博学な方々の深慮」を新聞記者として見てきましたが、うなづけぬことの方が多いように感じます。ひとつ申し上げたいのは、核融合を研究されている方でも、本当に実用発電に至るとは必ずしも考えないのではありませんか。中性子の発生源として、例えは、資源としてウランより豊富なトリウム232に吸わせてウラン233をつくり出せればよいというオプションが頭にある方もいるということです。核融合をめぐってはいろいろな思惑が交錯しているのに、表向きの理由付けや宣伝は極めて単純であり、もはや、それだけで開発資金を出す納税者の理解を得られない時代が来たと思います。

 私のコラムは、リンクを辿れば、自分の頭で資料を読み解いて、別の結論を導けるようにも出来ています。先日も、新聞記者を止めて医学部に入り直した後輩から、勉強に使うとのメールをもらいました。有用に使ってもらえるバックナンバーが少なくとも何編かはあると思います。



◆「未来エネルギー核融合の挫折」について、中村 太さんからのメール:------11/4追加

 いつも興味深く拝見させていただいております。

 日本では、規模の大きい未知のプロジェクトに"役人"が関わると日の目を見ず に失敗するケースが多いように感じます。鳴り物入りで登場した「高品位テレ ビ」は、デジタル放送の前に風前の灯、名前を忘れましたが日本中の道路にトラ ンスポンダーを付けて、走行する車の現在位置を運転席に表示するシステムは、 「衛星航法システムGPS」によって頓挫、日本人のための日本人によるOS「TRON 」も日の目を見ることはなさそうです。「PHS」も技術的な稚拙さから、解約者 が加入者を上回る状況が続いています。そういえば、昔「低温核融合」という眉 唾の発見がありましたが、米国が早々に見切りをつけたのに対し、日本は官民を 挙げてこの技術の実用化に取り組み、結局、莫大な資金だけが消えていったこと もありました。

 私も高速増殖炉が日本の単独技術で実用化されることは決してないと思いま す。6000億円を投入した壮大な計画は、引き取り手のない巨大なゴミと化すかも 知れませんね。こと未知の壮大な技術開発に関しては、日本は、残念ながら人的 資源があまりにも貧弱だと思います。国民的なコンセンサスも必ずしも得られて はいません。そこに官僚が関わると、実態がゆがめられ、利害が絡み、仕事がノ ルマ的になって大胆な発想の芽をつぶし、殆ど絶望的な状況に追いやられてゆく ようです。核融合は、今直ちにサスペンドするべきでしょう。そして、太陽光発 電、風力発電、など実現可能な環境に優しい多様なエネルギー資源を地道に開発 すべきです。一つはっきりしてきたことは、夢のような無尽蔵で安価なエネルギ ーも、それによって支えられるバラ色の未来もないだろうということだと思います。




◆No.1「空前の生涯独身時代」をめぐるスペシャル情報:------10/22追加

 この連載第1回については、先日の特集で触れたせいばかりでなく、息の長い読まれ方が続いているようです。今月半ば、Tさんから「第1回『空前の生涯独身時代』を拝見しました。思わずブックマークしました。私も私なりに、今の現実を真剣に見つめてもらいたいと、メルマガを発行しました」といったメールをいただいたりしています。「出会い」系のメールマガジンのようです。

 今日、主に取り上げるのは東海大の榎本知郎さんが最近、出版された丸善ブックス「性・愛・結婚 霊長類学からのアプローチ」についてです。榎本さんとは直接、お会いしたことはないのですが、パソコン通信以来の長いお付き合いです。この本の終節「結婚はどうなるか」で、「空前の生涯独身時代」を引用された関係で、本を贈っていただきました。No.46「読者交流〜荒れ・読み込み・軍隊」の半ばで登場する「霊長類研究者」というのも榎本さんのことです。

 丸々、紹介するわけにいきませんが、榎本さんの分析の中で、私は近親相姦のタブーをとても興味深く読みました。このタブーは霊長類でヒトにしかなく、「サルにはインセンストタブーがないのに、近親どうしの交尾は厳格に避けられている」というのです。サル群の構造上、種類によってオス、あるいはメスは大人になると出ていかなければならない仕組みがあることに加えて、仲の良いオスとメスはセックスをしない傾向が確認されているのです。最も仲の良いメスとオス、つまり母と子は交尾しないことになります。

 ヒトは霊長類の中でおそらく唯一、愛を持ち、近親相姦のタブーを持たねばならないように進化してきたのでしょう。榎本さんは「ヒトの愛は、母と息子の心理的な基盤を特定の異性に対して転用して生まれたと考えている」のです。ヒトのセックスにおける愛撫の仕方、例えばキッスなどを考察して、サルのセックスとどう違うか、サルの場合に見られるとしたら母との子の間のどんな状況か、霊長類学者の観察をベースにした議論には、なるほどと思うところが多々あります。

 榎本さんによると、ヒトがこう進化したのには、動物が幼い形を保ったまま性的に成熟して生殖する現象「ネオテニー」が重要な役割を果たしたといいます。人類と近縁のチンパンジーの胎児はヒトそっくりです。チンパンジーは大人になると、それらしい容貌を備えますが、ヒトは大人になって胎児と余り変わらない。また、大人になってもサルの子供のように「遊ぶ」のです。「心が幼児的なのである」。

 「空前の生涯独身時代」で、私はこの国の男性のある世代は、4分の1もが生涯独身である時代が来そうだと分析しました。結婚できないのかもしれないし、しなくてもいいのだと考えているのかもしれません。後者の場合の特殊な状態、二次元画面の映像だけで満足してしまう若者の性が、現代の一断面と言われます。この国で起きつつあることは、とても特殊な事柄のようでいて、あるいは「胎児化」「幼児化」のシナリオの極限なのかもしれないとも思いました。

 私が分析の手段にした生涯未婚率について、これまでインターネットであまり良いURLがなかったのですが、最近、「生涯未婚率― 結婚を選択しない人たち ―」を見つけました。私のように「乱暴」な議論はされていませんが、年次別の推移、各国との比較など参考になるデータが含まれています。

 おしまいに、これまでにいただいた質問にお答えします。「女性側の生涯未婚率の上昇に比べて、男性側の上昇がずっと大きい理由のはなぜか」。私の分析では、女性に対して男性は10%も上乗せされる見込みだからです。まず、生物学的に弱い男は、出生時で女より5%くらい多く生まれます。医療の進歩であまり死なずに大人になるようになりました。そして、結婚適齢期の男女差です。女性は安定を求めて年上のパートナーを選ぶことが多く、人口減少傾向が続いていると、年下の女性が吸い上げられます。さらに、再婚の問題です。榎本さんも書かれているように、離婚した女性は「男は、もう、うんざり」と結婚しない傾向が強いのに、男性側は不便なものですから再婚し、しかも相手は年下の女性になるのです。各世代にある男女比の歪みが、こうして下の世代にますます濃縮されると考えられます。



◆ダイオキシン問題について、読者からのメールと補遺:------8/14追加

 Iさんから「ダイオキシン(あるいは一般的に環境ホルモン)の健康に及ぼす影響については、現 在非常にセンセーショナルに報道されていますが、懐疑的な(少なくとも現在はまだ 断定的にいえる段階ではない)と言う意見も出されています。そちらの見方を取り上 げて団藤さんのコメントを付けて頂ければ参考になると思います」とのメールが来ました。

 コラムで引用させていただいた岡村博行さんから、次のようなメールもいただいています。

 小生のホームページ「母乳育児を楽しみませんか」からダイオキシンと母乳と言うも っとも初期の論文が紹介されていましたが、最近のデータも紹介して頂きたいものです。 次に載せる予定で、目下構想を練っているテーマは、此れまでダイオキシンによると されていた幾つかのデータや疾患が、現在否定される事態になっていること。例えば 子宮内膜症の原因について、ダイオキシンの関与はせいぜい1から2%以下であると言 う武谷東大教授の意見。それから母乳保育のほうが人工乳保育ヨリアトピーになる安 いと言う根拠とされている、ダイオキシン問題を考える会作成のぐらふの。抱える重 大な問題点など・・・です。

 私が岡村さんのウェブを訪問した後で、「母乳とダイオキシン」の近況が追加されました。その中の論点を少し紹介します。

 「此れまで母乳とアトピー性皮膚炎との関係を証拠ずける臨床データとして、長崎大学付属病院皮膚科外来における各年度の新患患者総数中アトピー性皮膚炎患者の占める割合は、1967年から87年の20年の間に、ほぼ直線的に増加し、約7倍に増加したと言う例が、アトピー性皮膚炎とダイオキシンとの密接な関係を裏付ける証拠として、ダイオキシン告発関連の本によく紹介されていました。しかし此れまで信じられていたダイオキシン汚染は右肩上がりに増加が続くという前提に反して、現実にはダイオキシン汚染度が漸減中のようです」

 注目の子宮内膜症との関係について「不規則な生活やストレス、体重の増減など生活環境の変化によって、内分泌系は非常に変化しやすい、子宮内膜症の原因のうち、ダイオキシンの占める割合は、せいぜい1〜2%あれば良いだろう」との東京大学の武谷雄二教授のコメントも引用されています。

 母乳の中の汚染濃度が減っているのに現象は増えているのですから、「1対1」対応の疫学からは否定的になるわけですが、環境ホルモン容疑物質の膨大なリストに見られるように、我々は複雑怪奇な汚染の中にいると思います。まだ見えていない汚染の方が多いのは確実です。ダイオキシン以外のものも関係しているらしいことは、むしろ自然です。事態の解明はようやく始まったばかりでしょう。「1〜2%あれば」と断言する調査データを、まだ持つに至っていないと考えています。母乳についても、食物に関する調査についても、私の認識では、国内は、ほんのサンプル調査の段階です。



◆以下のやり取りへ、吉田さんからのメールの一部:------8/06追加

 だいたいにおいて貴説に賛成なのですが。

 竜馬について身は薩摩に預けなければ大きな仕事が出来ない現状と竜馬自身本当に やりたい事、理想との間には大きなギャップを感じていたと思います。一面では澄 んだ思想が形成され、そのような中から船中八策の世界とかが出てきたと思います。

 竜馬にしても薩摩藩のスパイになるために脱藩したわけでもなく、脱藩即、家族 を犠牲にする行為をしてきているのでありその結果として薩摩の手先だけで終わる のは御免であると心の葛藤は大きかったと思われます。竜馬の意思とは別に薩摩藩 では竜馬は手先と扱っていた証拠は種々ありますし、暗殺時にも京都薩摩邸の動き は庇護者として動いております。



◇吉田さんからのメールと団藤のコメント:------7/31追加

佐賀藩の科学技術史を紹介されている吉田さんから

「さて一部しか見ていないのですが坂本竜馬に関してですが、はっきりいって竜馬 は薩摩藩の意のままに動いており薩摩藩スパイと断言して良い。(ロマンは無くな るが)幕末とはいえ藩から出る事は死を意味しており、薩藩の庇護なしでは大きな 活躍ができない。幕末時、竜馬がしたことは薩藩ができなかった事をしただけであ る。薩藩の利益に反した行動はしていなく、幕末の薩藩の謀略の凄いところである 。薩藩も謀略では秀でていたが戊辰戦争における戦闘では精彩を欠き西南戦争では 勝負にならなかったのは史書どうりでありましょう。坂本龍馬が話題にされるのは明治37年頃からですのであまり重要視されていな かったのは明白と思われます」 「親戚に竜馬の腰巾着であった田中光顕がおりますが典型的な明治の官吏でしょう」

 「述べているとおり日本民族が作り上げた最高の社会形態は江戸時代であり二百数 十年続き、下級武士が西洋を見習って創った社会が七十五年しか持たなかったのは 象徴的でっしょう。数百万にも及ぶ戦死者をだした社会はどう見ても肯定できない と思います」

 といった内容の指摘を頂戴しました。これについて、私はこう考えています。

 龍馬について、吉田さんの言われるような意見があることは承知しています。 日露戦争の際に皇后の夢枕に現れたとかのエピソードあたりから、龍馬の名前が 表に出てくるようです。私も、龍馬の海援隊が薩摩のエージェントとして動いた 事実は認めます。薩長同盟で彼が果たした役割は、長州を含めて、雄藩同盟で幕 府に対抗する歴史の流れの必然でしかないとの見方もあります。当時の朝廷の意 向に背く行為でしたから、龍馬が同盟を仲介したことにしておけば良かったとの 解釈もあるようです。

 しかし、彼の行動と彼の残したもの全てを薩摩の謀略とすることは無理がある と思っています。船中八策の世界は、薩摩の世界ではないでしょう。
 高知支局員だったころ、土佐の人物紹介の欄で田中光顕を割り当てられて、か なり調べたことがあります。あまり魅力を感じなかった記憶があります。彼から 龍馬を推定するのも、また無理があるように思います。



◇団藤から次のメールについて:------7/16追加

 橋本首相は、昨年の「年頭記者会見」で、こんな発言をしています。

 「日本的な経済システムや官僚制度、これは経済が右肩上がりで、私たちが目指すその目標というものが明らかであるときには、その目標に向かって極めて効率のよい経済発展を実現し、不公平感の少ない社会を建設する大変すぐれた制度でもありました。しかし、国民の価値観が多様化し、目標も単純なものではあり得ない、そうした社会情勢の中にあって、かつて日本の発展を支えてきたさまざまな制度や慣行というものが、逆に停滞の大きな原因になっている、これは残念ながら否定出来ない事実です」

 こういう発言をする、経済通、政策通と言われた首相ですが、結局は官僚の出すものを調整しながら使ってきたという結論になるかもしれません。



◆メール:------7/16追加
(Sさんから)

「明治維新(上)志士達の夢と官僚国家」も、興味深く読みました。 明治維新は、日本史のうちで最も興味深い時代の一つです。 明治維新というものは、外圧に対して、欧米列強の植民地にならずに済んだ 日本がうまく対応した一つの例だと思います。 現在のアメリカの云う「グローバルスタンダード」を突きつけられて、対応 に苦慮している政府は、明治維新の日本のようにうまく切り抜けていけるの でしょうか。

#切り抜けてもらわないと大変なことになると思っています。 政府も、歴史に学ぶことができれば良いと思うのですが、選挙で民意を要求 しないと、やはり無理なのでしょうか。

昨日の参議院選挙の結果についても、インターネットで読み解いて頂けると 面白いと思うのですが。



◆メール:------7/16追加
引用させていただいた「幕末千夜一夜」のオーナーから

早速、読ませていただき、ブックマークに登録しました。

「インターネットで読み解く」という意味が分かりました。 私の幕末千夜一夜の索引年表(Table)もインターネットで読み解くという狙いに なりますが、団藤さんの方がはるかにレベルが高い(当たり前か)ので、ページ の構成、制作姿勢を参考にさせていただきます。

「明治維新(上)志士達の夢と官僚国家」の次を楽しみにしております。 団藤さんは【明治維新、組織構築】という見方で、官僚国家から見た維新の評価 が目的ですね。どのような観点から見られるのか楽しみですし、私が見ようとし ている【幕末、組織崩壊】とのつながりがどうなるのか、個人的に興味がありま す。

また、こちらからリンクさせていただきたいと思います。 「明治維新(上)志士達の夢と官僚国家」の部分にハイライトを当てた紹介にな ると思います。



◇団藤から次のメールについて:------7/16追加
 木戸孝允(桂小五郎)は、私にも興味がある謎めいた人物です。しかし、インターネットでもあまり良い資料に出会いません。

 紹介していないサイトとして、次の年譜があります。興味のある方はどうぞ。

「木戸孝允」年譜



◆メール:------7/16追加
(Iさんから)

始めまして。mag2の第一号配信で拝読。続いてHPを開いてバックナンバーを数件読み ました。極めて鮮やかな情報収拾と解析で感服しました。私もエンジニアなので、科 学技術欄の幾つかに反論はありますが、もう少し準備してから「読者の声」欄に投稿 したいと思います。

ところで本報に関連することで、個人的には木戸孝允に関心を持っています。貴兄の 検索方法で調べるべきでしょうが、もし既に ご存知のサイトがあればご教示頂けないでしょうか?



◆メール:------7/16追加
 「超音波の多能・多彩と神秘さ」について(Nさん)

以下は関連ネタの提供ということで(もうご存じかもしれません)。

超音波エネルギーを用いた治療には薬物を使うものも研究されています。記憶 に頼って書くと,腫瘍に集積する化学形のポルフィリンを投与し,音波のエネ ルギーによってポルフィリンの性質を変化させて抗癌作用を発揮させるという ものです。ポルフィリンに対して光のエネルギーを用いる研究もあります。

# 最近話題のポリフェノールと紛らわしくて,「えーと,どっちだっけ」にな
# ってしまいます(苦笑)。

超音波エネルギーによる直接治療はキャビテーションでできた泡粒がつぶれる 際に発する熱エネルギーが作用すると考えられていますが,これはまだ実証さ れた説ではなかったと思います。

超音波による産科検診はごく一般的ですが,超音波の胎児に対する安全性が確 認されてから臨床に供されるようになったわけではないはずです。爆発的に広 まったために超音波診断を用いない対照群が作り得なかったためと理解してい ます。

診断用のエネルギー領域ではキャビテーションなども起こらず,胎児に影響す るとは考えにくいですが,それを言ったら電磁波問題も同じようなものなんで すよね。

このページの最後から2, 3段落目は実証性に欠ける内容ですね。酒類用熟成器 については,30年ほど前の「初歩のラジオ」誌か「ラジオの製作」誌に似たよ うな製作記事がありました。家の中を引っかき回すと出てくるはずですが,そ れができる状況ではないので正確には示せません。



◆メール:------7/5追加
 「都市景観」を読んで(Tさん)

 92年に東ベルリンに行く機会があり、東西ドイツの経済格差のすさまじさを実 感しました。帰国後、写真整理をして、東ベルリンの中心部が写っている1枚を見 て、違和感を感じました。西欧の風景とは違った感じがしたからです。
 周囲の人たちに「どこの都市の写真か」という問いかけをしたのですが、ほとん どの人はアジアか中東の都市の名をあげました。興味深かったのは、知識を持って いない人(行ったことがない、あるいは建築の専門知識を持っていない)ほど、そ うゆう印象を強く持っていたことです。 
 同じ民族がわずか50年の社会制度の違いで、都市の印象すら変える現実を見て 、都市の景観は民族性や歴史的経緯よりも現在の社会制度による影響の方が強いの ではないかと思い始めました。

 日本にも独自の景観があります。海岸線の擁壁や消波ブロック、郊外の国道の片 側歩道(町中の歩道より広い)、歩道の植え込みや柵です。国土が狭いとか、人口 密度が高いなどという理由ではないことは、北海道の道東地方でもこの傾向が変わ らないことでもよくわかります。

 ベルリン公園内の運河の水門に架かる橋の中央に、長いロープに繋いである浮き 輪が、消火栓ボックス状の箱に収納されいて、感動しました。しかし、臨海副都心 の台場公園では、それが台場の護岸の上ではなく、遠浅の砂浜に設置されているの です。中途半端に車線が広くなった道路は歩道側にパイロンを並べ、駐車を阻止す るためにわざわざ狭くしてあります。公園の駐車場が1回1000円。豊富な空き 地は全て有刺鉄線と見間違えるようなデザインの柵で囲われ、中は芝生と間違える くらいにきれいに雑草が刈られています。

 「都市のデザインは住み方の問題でもあり、建築や土木の専門家にだけ委ねてお ける問題ではなくなっている、と思う。」  確かにそうですが、だからといって専門知識を持っていない人が持っている人よ り優れているとは思えません。専門家が知識を生かせない社会であることを問題に すべきではないでしょうか。  また、住み方の問題は個人の嗜好であり、その集積が必ずしも社会の向上に結び つくとは限りません。むしろ、日本の景観のアンバランスは、個人の嗜好の多様化 やそれを実現できる技術や経済的環境を活かす社会制度がないためではないでしょ うか。

 景観は、法治主義の概念に大きく左右されるのではないでしょうか。秩序をどの ように維持するかで、街の形や道路の設計が変わってくるはずです。
 ちなみに、道路の即端の白の実線は、日米とも同じに引かれていますが、アメリ カ(カリフォルニア)では実線は黄色(中央線)も白(区分線)も走行中ハミ出し 禁止です。日本では実線と破線の法的な区別はないばかりか、中央線と区分線の区 別もありません。日本の一般道のほとんどは、大型車がすれ違う場合には即端の実 線を踏むようにして避け合わなければ走れません。高速道すら併走するのは危険で す。道交法に整合性があれば、車線幅は広くなるはずです。
 日米の経営者が入れ替わったら、アメリカに行った日本の経営者はすべて独禁法 違反で逮捕されてしまうといった人がいましたが、もし、日本にアメリカ並みに司 法が機能し、社会的判断能力があれば、道交法違反のほとんどは無罪でしょうし、 事故の大半は行政の責任になるはずです。

 余談ですが、ポール・クルーグマンの生産性の向上とは、社会効率の向上と理解 した方がわかりやすいのではないでしょうか。企業の生産性の向上は必ずしも社会 効率の向上には結びつきません。しかし社会効率の低下は必ず企業の生産性を阻害 します。
 日本やアジアの景観は、また社会効率の悪さの結果であるとするのは言い過ぎで しょうか。



◆メール:------6/22追加
先週の都市デザイニング(第52回)へのコメントを一つ。というのか、エレベータについて。

 建物のエレベータに広い意味での吊り下げ式が多く、高層になるほどケーブル吊り下げ式が圧倒的になるのは、多分、鉱山技術のせいではないかと考えています。鉱山は地下に穴を掘るので、エレベータの上にケーブル巻き上げ機を置くのが最も自然でしょう。竪坑の穴は不規則に曲がることがあり、フレキシブルなケーブル吊り下げ式が最も安全だったでしょう。垂直に数百メートルから、時に、1km以上も一気に昇降しなければならないのも、鉱山のエレベータの特徴でした。昼夜兼行3交代制でもエレベータを使う時間は決まっていて、坑夫が交代する時にエレベータが動いていました。採鉱した鉱石の運搬もそれほど高頻度ではありません。止まる所も大体決まっていたので、各階で止める必要がなく、通過する所がほとんどです。鉱山の、一つか二つのケージ(かご)を時々使うだけのスタイルが、そのまま高層ビルまで直結していたのではないかと思います。20年以上前の、日本でもまだ鉱山開発が残っていた時点では、よく、どこそこの鉱山のエレベータは日本一速く、東京のどこそこの高層ビルにも取り入れられていると、囁かれていたものです。

 もし、エレベータが、こうした数百mもの落差のある地底開発とは無関係に進められたら、どんなデザインになったでしょうか。おそらく、低層住宅なら、油圧シャフトで持ち上げる形式や、壁にねじを巻くように昇降するものが主流になったのではないかと思われます。これでは高層ビルを急速に昇降することはできず、そのような発想が生まれるのも遅れたかもしれません。

 私が思い付くのは、遊園地の大きな回転式遊覧籠のようなスタイルでした。パーキングビルにあるように、ケージが各階につくことができ、一定方向に回転することにすれば、昇降もどちらか一方に限られ、エレベータを待つためのいらいらもいらなくなったでしょう。回転スピードをたかめれば、高層にもある程度は対応できる技術が生まれたかもしれませんし、各階止まりと急行の2系列作れば、相当な人数をバランスよく高速で運べたかもしれません。しかし、そういうデザインは生まれなかった。もちろん、鉱山では、こんな複雑な形状は維持できません。技術的に無理があるとは思えませんから、今主流のエレベータは、鉱山での生活スタイル、設計デザインが持ち込まれ、技術開発も連動していると見た方がよいかもしれません。鉱山は、世界的には、まだたくさんあるし、深く潜るためにケーブルで昇降するエレベータ技術の改良もまだ進歩していますから、更に高層のビルにも対応していくでしょう。

 都市の上空に展開していくビルと、山中で深く地下に潜っていく鉱山竪坑とが、エレベータ技術の開発/ケーブル巻上技術という点で共通項があるらしいのでは、と妄想を逞しくしながら、楽しく拝見しました。
(40代、専門・技術職)



◆コメント:------6/22追加
第52回「ふさわしい都市景観を持つために」を読んだ感想

 私は、ビル建築とは全く無関係の仕事をしていますが、 高層ビルを見るのは好きな方で、新宿副都心の高層ビル群や、 横浜ランドマークタワー、梅田スカイビルなども、 出張時の時間の合間を利用して見に行ったりしました。 (と言っても外から見ただけで、最上階に登った事はありません。 あくまでも、外からのデザインを見たいのです。というか、最上階 へ行くエレベータの料金の高さに登るのを止めたのが本音ですが。) 団藤さんの言っている事にはかなり共感できたのですが、 新宿副都心の高層ビル群への感想だけは、私の感じたのと 違ってました。

 というのは、都庁ビルのデザインは確かに他のビル群と 異なり、自己主張したデザインになっていますが、 他のビルが本当に没個性的といえるかという事です。 私には、それぞれのビルの壁面のデザインでいろいろと 工夫がされているのを楽しみました。確かに、形状的には ただの直方体の箱のようなビルも多いですが、デザイン的には 私には、興味を持てたのですが、どうでしょうか? ただ、私は、新宿の副都心へは1〜2回程度しか行っていないので 何度も見た後の感想は違ってくるかもしれません。

 以前、アンケートにも書いたのですが、いろいろと興味深い内容を 取り上げていて、おもしろいのですが、ついつい時間の都合で 読むのを後にしてしまい、読み進めていないので残念です。 もっと時間をつくり、読み進めてみたいと思います。 これからも、楽しみにしています。それでは。
(20代、専門・技術職)



◆コメント:------6/22追加
 今回の景観の話ですが、 景観権裁判に関するページが
http://www2k.meshnet.or.jp/~kensoken/index.html
にあります。参考まで。
(20代、大学生・大学院生(理系))




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