VTR・DVD首座交替とEMS台頭にみる,物作り王国変貌(20001225)

 技術立国日本を長らく象徴する存在だったVTRが,来年にはビデオ販売の首座をDVDに明け渡す見込みだ。単純に「VTRの次はDVDがあるさ」と言えるのなら技術的優位は全体として変化なしだが,DVDの場合はVTRの開発後続いた「独占状態」を再現することはないと見られる。米国からアジアで急速に台頭してきたEMS(エレクトロニック・マニュファクチャリング・サービス),日本語にしたら「電子機器製造請負業」と呼ぶべき新しい外注生産形態のメーカーが楽々と手がけられる製品である。

 日本映像ソフト協会の「ビデオソフト売上速報」によると,1月から10月まででVTRカセット販売数が2729万本に対して,DVDビデオは2189万本。VTRが前年比86%と落ちているのに,DVDは同348%と爆発的に伸びている。

 DVDは「デジタル多用途ディスク」の略称であり,ソニーのゲーム機プレイステーション2に再生機能が付いたことで普及へ突破口が開けた。この秋に解散したビデオディスク協会が残した「DVDビデオ周辺技術講座」で技術解説が読める。(次項へ)


8.目次 9.次項