VTRについては,私の連載コラムから第12回「VTR・技術立国の栄光その後」を参照していただきたい。現在はどの家庭でも置いている平凡な機械になったが,千分の1ミリ,1ミクロンの精度を家庭に持ち込んだ最初の製品だった。普通のカセットテープと違い,テープは高速回転する磁気ドラムとの間に空気を巻き込むことで,接触せずに20ミクロンほど浮き上がっている。
こうした精度の差が画質にはシビアに効いた。VTRには海外で生産しきれない高度な基幹部品があり,国内から半製品として供給する時期が長く続いた。これに対してレーザー光線ピックアップを使うDVDは,回転系の制御さえしっかりすれば大きな問題はない。
10月18日,ソニーがEMS最大手ソレクトロンに宮城と台湾にある2事業所を譲渡したニュースは,国内での物作りの今後が大きく変わることを予感させた。EMSは設計図を渡す外注とは違い,製品の開発から全て請け負う,何とも手軽な外注形態である。ノートパソコンのOEM納入を出発点に始まり,かなり高度な製品まで,複数の企業からの注文を効率的にこなすことで利益を上げている。台湾勢なども力をつけてきた。 (次項へ)