”飛びすぎ金属バット”にようやく本格規制製品(20010113)

 高校野球と社会人野球で使われてきた金属バットは,発祥地の米国から国内に入って特異な発展をし,超々ジュラルミンによる「飛びすぎ金属バット」が生まれていた。日本高校野球連盟と社会人の日本野球連盟が打ち出した本格規制に対応した新基準金属バットが,2000年末になってようやく発売された。打撃投手の死亡事故多発などをうけた措置だが,投打のバランス回復で野球本来の面白みが増すことは間違いない。

 規制の骨子はバットの重量を900グラム以上にし,最大直径を67ミリまでとする。ひどいものでは809グラムにまで減っていた現状と違い,木製バット並の重さを確保することでスイング速度を制限する。最大70ミリになっていたバット直径を減らせば,薄肉大口径品が造れなくなるので球との衝突時にバットがへしゃげて弾き返すバネ効果を制限できる。

 私が連載しているコラム第92回「新・日本人大リーガーへの科学的頌歌」で紹介しているように,飛びすぎ金属バットの存在を科学的に証明したのは1983年のことだった。最高レベルの選手なら時速150キロにもなるバットスイング。高校生ははるかに低いが,バットを「高校生なら50グラム軽くすれば10%速度が増す」経験則が当時から知られていた。(次項へ)


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