これに加えてバネ効果。83年当時で「直径63.7ミリの従来品に比べて,直径68.5ミリの新バットはボールとの衝突時に変形が大きくなる」。「時速100キロの球を時速100キロのスイングで打つ場合に,球は10.5ミリ凹む一方,従来バットは3.1ミリ,新バットは4.4ミリへしゃげる。金属の復元は球より速いからバネとして効き,球が飛び出す初速に差が生まれる。時速にして140キロに対し156キロにもなり,飛距離にしたら10メートルは楽に違ってくる」

 金属バットから木製バットに切り替わったシドニー五輪で,重くて飛ばない木製を使い慣れていない日本チームは,大リーグ2軍の米国チームなど上位陣に歯が立たなかった。いかに金属バットに頼って野球をしてきたかが証明された。野球が五輪競技に加えられてから初めて,メダルを逸する結果にもなった。真に国際レベルに達するためにも避けて通れない規制である。

 社会人野球は夏の都市対抗本大会から,高校野球は秋の公式戦から規制製品の使用が義務づけられる。確かに本塁打は減るだろうが,二塁打,三塁打の長打は増え,俊足と野手の肩が見せるドラマは増える。何より,打高投低で外角へ逃げのピッチングに走っていた投手に真っ向勝負の姿勢が帰ってこよう。(了)

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