2000年上半期,麦芽100%の新製品投入が期待はずれに終わったビールに比べ,発泡酒は前年比17.7%も伸びた。ビールは前年比4.4%減らした。ビールと発泡酒合わせた市場で,半年ベースで発泡酒は初めてシェア2割を超え,21.9%に達した。
どうして発泡酒は売れているのか。インターネット上で組織的な大規模アンケート調査をしているマイボイスコムの「発泡酒の消費拡大に関する調査」集計でも出ているように,好みはビールなのだが,麦芽の含有率が少なく税率が下がって生まれた価格の安さから発泡酒が買われていることになっている。
しかし,それを額面通りに受け取る人は,この国のビールについて知らない人だ。
ビールは,現在のイラクあたりにメソポタミア文明を築いたシュメール人が発明したとされる。3000年の昔,都市国家に30ものビール・ブランドが存在,既に銘柄についての談義があったようだ。
現代ビールは,160年ほど前にチェコで生まれた傑作ピルゼンビールを源とする。これが世界を席巻する中で国内に入ってきたため,ビールはどれも同じような味になった。欧米伝統産地のように個性的なビールは残らなかった。