他社も大なり小なり追随しビールの味が変わっていく文脈の延長で,快進撃している発泡酒。さらに面白い傾向がある。「主要ビール会社動向」に最近の動きが月単位で手際よくまとめられている。売れて話題になっているのはサントリーのマグナムドライである。麒麟淡麗〈生〉もまずまずだ。しっかりした苦味を持つサッポロのブロイが最も影が薄い。しかし「どれがビールらしいか」と問われれば,私は「ブロイが最もビールらしい」と答えることにしている。
初期の発泡酒はビールに似せることに一生懸命だったが,マグナムドライが売れる傾向はビールから逸脱する動きに見える。キリンは麦芽を使っているのに透明,クリアタイプである発泡酒「クリアブリュー」も売り出した。レモンを搾って飲むという。こうなるとサントリーのウオッカベース新飲料「H(アッ シュ)」あたりと見分けがつきにくい。
ビールでなくても同じような清涼感のある飲み物なら売れる時代になりつつある。もともと欧米ではウイスキーやバーボンより,「白物」と呼ばれるジンやウオッカなどの方が飲まれている。清涼感のある飲み物ならずっと作りやすい。
アサヒが発泡酒をつくらないのは,自ら始めた「異端」が原因になって,ビール市場そのものを崩壊させる恐れに抵抗しているからではないか。
ビールの酒類全体に占める構成比は、国税庁調べで過去10年、このように推移している。2000年は予測であり、実際にはもっと少なくなろう。
1991年 73.4%「BEER大好きマガジン」の作者は「発泡酒について」で「私は発泡酒もドライビールも否定しませんが、酒税の高いビールでわざわざ麦の味わいを殺したドライビールを作り、発泡酒は一生懸命麦の味わいに近づけようとしている。なんか滑稽なんです」と書いている。
もしアサヒが発泡酒でスーパードライと同じものを造れれば、ビールのスーパードライは死んでしまうし、スーパードライと味が違う、もっとドライなものを造ったら、それはもうビールの範疇にないだろう。