中国を動かす中枢であり党員6000万人以上を持つ中国共産党は、今秋に階級政党から国民政党に衣替えすることになっている。1月18日に「チャイナネット」で流れたニュース「今日の中国人は十の階層に色分けすることができる」は、そのための具体的な準備だと思う。
これは中国社会科学院の重要研究プロジェクトの成果であり、公式に認められ党が関わっている。「もとの『二つの階級、一つの階層』(労働者階級、農民階級と知識人階層)という社会構造は、新しく生まれた、さらに細分化された、より豊かな社会階層を網羅することができなくなったため、われわれは中国の今日の社会階層に対して新たな色分けを行うことが必要になった」
「国と社会の管理者階層、経理要員階層、私営企業のオーナー階層、専門技術者階層、事務要員階層、個人経営商工業者階層、商業・サービス業の従業員階層、産業労働者階層、農業勤労者階層、都市と農村の無職・失業・半失業者階層という『十の階層』に色分けした」
研究者たちは「中間階層が大幅に拡充し、それがすでにはっきりとした趨勢となった」との表現を使っている。それこそが中産階級であり、主に専門技術者階層、経理階層と私営企業のオーナー階層からなるとされている。とすれば国と社会の管理者階層こそが「上流階級」であり、事務要員階層とその他は「無産階級」と呼ぶべきかもしれない。社会主義中国の看板からは論理矛盾の極みだが、それを公式に認めようとしていること自体、中国共産党が建前から本音の世界に下りてきたことを示している。
日本企業が中国に進出してビジネスがうまくいかなかった一時期、中国の方が遅れた特殊なルールを敷いているとの論調がメディアにあった。今になって日本企業が浮き足立って生産移転を始める様には違和感がある。中国との明日を考えるなら、具体的な理解を積み重ねて行かないと大きな痛手を負いかねな い。
もともと欧米には戦前、巨大な中国を分割するべきだとの意見があったが、「そんなことをしたら日本を十個作るようなものだから止めた方がよい」ということになったそうだ。地方ごとの地理的個性や歴史的いきさつからみて、中国には国がいくつもあると考えた方が良い。あの巨体が一枚岩であったり、建前通りであったり出来るはずがない。知ったかぶりをしないで、実証的な理解を重ねることから始めるしかあるまい。(了)
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