クローン人間・細胞工学の進展に対する社会の遅れ(20010426)

 3月半ばにCNNは「クローン人間の実験10月に開始 米・伊の医師」と伝えた。「計画されている実験では,不妊症の父親の体細胞の『核』を,あらかじめ核を抜いた母親の未受精卵に移植し,子宮に戻して出産させる。不妊症で悩む夫婦にとっては,第三者の精子提供者に頼る必要がない上に,生まれた子供は,実の父親の肉体的特徴を有するという利点がある」

 実の父親と一卵性双生児と言うべきだが,研究陣に「子どもが欲しいとのメールが殺到している」とも伝えている。

 こうした動きに対して文部科学省は2月「クローン人間の産生禁止について」を公表している。「クローン人間の産生は,人の尊厳の保持等に重大な影響を与える可能性があるため, 我が国では厳にこれを禁止することとし,昨年11月,『ヒトに関するクローン技術の規制に関する法律』が成立したところです」

 「2月15日(木)に開催された総合科学技術会議においても, 重ねて総理から,『クローン人間の産生は容認できないとする国際的な認識に従って,国際的な協調のもとで,世界各国が適切な措置をとっていくことが重要です。引き続き,我が国として,このことを国内外に向けて,はっきりと発信していく』 という考え方が示されました」 (次項へ)


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