英語教育の深い闇・出口はあるのか(20010924)

 2002年の新学習指導要領実施を先取りして、小学校で英語が教えられ始めている。国際理解に英語は必要としつつ、新要領は一方で中学の必須英単語を500語から100語に減らすなど、矛盾に満ちている。何が起き、変わろうとしているのか。

 「21世紀日本の構想」懇談会最終報告書はこう述べている。「世界に生きる日本のために必要な国内的課題、国内インフラは何か。1番目に『情報技術革命への対応』。世界語としての英語とインターネット。国際的に通じる言語能力を持たなければいけない。技術革新の新しい波や近代化の波に背を向けて逃げるのではなくて、それをこなし、学習して浮上しつつ、その中で持ち味を出すというのが、明治以来、西洋文明の挑戦に対して日本が取ってきた実績で、今もう一度それが求められています」

 今年初めに出た「小学校英語活動実践の手引」に基づいて、中高向けを含めた外国語指導助手ALT(Assistant Language Teacher)5,583名が招かれ、各地で活動を始めている。

 この手引きの最後にある授業例はこうである。「単語を覚えさせるのではなく,音の違いに慣れさせることを主眼」にどんどん単語を言っていくという。早くから来日しているALTの中には、子どもの心をつかめたとして、英語で歌い踊れる授業スタイルを提案する人もいる。しかし、週に1、2回程度、この授業をして何が残るのか。

 中学から高校、大学にかけての英語教育、特に会話力をつける教育に何ら抜本的な手が打たれないまま、「英語で歌い踊れる」ことに積極的な価値を見出しにくい。英会話教育と結びついてこその早期教育ではないのか。(次項へ)


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