私の連載コラム第80回「ヒトゲノム研究での異邦人・日本」は,ゲノム解析が従来の断片的な知識集積から飛躍した根こそぎの荒技であり,次の世紀には簡単な生命の再構築にまで進むことまで見通した議論をしている。解読の後,問題になる遺伝子の機能解析で,この国の研究陣に望みがあるのかも考えている。

 ミレニアム・プロジェクトとして政府は予算は増やしたが,見通しは暗い。それは,海外の研究風潮を国内に紹介して有名になることに重きが置かれ,世界から注目されるオリジナルな研究をしてこなかった大学や研究機関の体質と関係がある。

 東洋信託銀レポートの数字であげれば,現在の論文発表数などより,「代表的微生物機関保有株数」が日本の8,000株に対して米国が71.000株も持つ点に,先行きが端的に示されている。新たに構造が分かったタンパク質がどう働くか調べるには,どんどん合成して多数の実験系に投与し,何が起きるか見ればよい。つまり,どれだけ多種類の実験系,つまり「株」を持つかで勝負が決まるのだ。


7.前項 8.目次