ドイツが2020年までに原発廃止 日独の差はなぜかくも広がったか(20000630)

 ドイツ政府と主要電力各社は6月15日,原発の稼働限界年数を32年とすることで合意した。ドイツでは1988年以降,新たな原発が運転を始めていないため2020年で原発は「自然死」することになる。

 ドイツと日本は過去には非常に似通った原子力開発計画を持っていた。しかし、ドイツは既に,高速増殖炉の開発も核燃料の再処理も,プルトニウムを一般の原発で燃やすプルサーマル計画も放棄している。脱原子力へのステップは一歩一歩,確実に進められてきた。

 一連の流れを取材していると,両国の差が最も歴然とする分かれ目は高速増殖炉の原型炉にある。国内の「もんじゅ」とほとんど同規模の炉「SNR300」はカルカーにあり,4000億円近くを投じ完成していながら91年に核燃料を搬入できないまま廃炉になった。

 もしNATO軍の演習中にジェット機が墜落したらどうするなど議論になり,コンクリートの化け物と呼べるほど厚く重装備になった高速炉は結局,一度も運転は出来なかった。


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