世界中がホロコーストと化す

 国際ニュース解説・田中宇さんの「罠にはまったアメリカ 」は、イラク政府がゲリラやテロリストがよく使う「即席爆弾」をつくる技術を諜報部員たちに組織的に学ばせていた事実を取り上げている。「フセイン政権は、米軍が攻めてきたら諜報機関が即席爆弾を作り、政権支持者を地下で組織してゲリラ戦をさせ、米軍に対抗しようと前々から考えていた可能性が大きい」と、戦争は終わっておらず、非正規ゲリラ戦に移行しただけではないかとみる。

 TBSの15日のニュースは、イラクから戻った米国軍事専門家の意見として「南部はバグダッドより平穏だが、自衛隊への攻撃は不可避」と伝えた。CSIS戦略国際問題研究所のアンソニー・コーデスマン氏であり、同研究所のウェブで執筆した”The Current Military Situation in Iraq”が公開されている。そこではバグダッド占領当局からの聞き取りとして、抵抗勢力の95%は旧体制に忠実なイラク人で構成されているとする。

 9日のサウジアラビアの首都リヤドでの爆発に続いて、15日にはトルコ・イスタンブールでユダヤ教礼拝所(シナゴーグ)2カ所で爆発があった。死者が何十人と出た。「ハシムの世界史への旅」で提供されている年表「イスラム過激派関連事項とテロ事件の歴史」を見ても、長期レンジでのテロの拡散・拡大傾向を感じる。

 そして、思い浮かべるのが、イラク戦争が始まる前にネルソン・マンデラ南アフリカ前大統領が「世界をホロコースト化しようとしている」とブッシュ大統領を痛烈に批判した言葉だ。憎悪の拡大再生産でしかない米国の行動を止められず、最も深刻な危機の震源地パレスチナに希望が全く見えない今、マンデラ氏の予言は本当になってしまいそうである。

 派遣された自衛隊がいかに人道的な支援活動をしても、日本が米国と一緒になって行動している事実は変えられない。「人道的」で免罪されるならバグダッドで国際赤十字が襲われることなどあり得ない。自民党と連立する公明党の「デイリーニュース〜解説ワイド/イラク復興支援と公明党」(10/23)を読んで、政権を担い派遣を決定する政党が本質を理解していない点に驚かされた。

 「イラク南部のバスラで英軍とともに活動しているデンマーク軍の司令官から『担当地域はデンマークと同じ広さだが、この地域の犯罪発生率はデンマークと変わらない』との話を聞いています」――ジハードは無頼の徒がすることではない。犯罪ではなく、イスラムの正義なのだ。イラク戦争を仕掛け占領してしまった米国の大戦略の誤りで、派遣自衛隊はイスラムの友としてでなく、敵として土俵に上がるしかない。(了)

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