その大変な難関をどう克服するのか。「情報化にむけてのアクションプラン」は「医療提供者に対して医療の情報化の目的は、単なるカルテの電子化や省力化のみでなく、豊富な診療データの共有や蓄積、分析が可能というIT化の特徴を生かした、より良い医療を行うため環境整備であるとの意識改革を促す」と、説得するという。なんと真正面からぶつかる気のようだ。
この正論が通じるか、はなはだ危ぶむ。これも11月末に公表されたばかりの「2000年の医療施設(動態)調査・病院報告の概況」を子細に見れば、いや、一見すれば、日本の医療のありようは何十年と変わっていないと知れる。
「結果の概要1 施設数・病床数」にある「図3 都道府県別にみた病院の人口10万対病床数」の塗り分け地図は病床数分布が関東、中部で薄く、その他が厚いパターンである。「4 病院の平均在院日数 」で「図8 都道府県別にみた病院の平均在院日数 」の塗り分け地図を次に見ると、あまりにも見事にふたつの地図は一致している。
この国の医療は患者のためというより、存在しているベッドをいっぱいにするために行われていて、もう何十年も変わっていないのである。地域医療計画で病床数の総量規制が行われているが、圧縮効果を上げていない。逆に、立ちゆかなくなった病院も既得権益として確保した病床数があるので、高額で身売りできる可能性を生んでいる。
厚生労働省は治療の必要性が薄いのに6ヶ月以上、入院している「社会的入院者」5万人について来年度以降、治療費を健康保険で払わないようにする方針を打ち出した。本人負担にして、健康保険から介護保険の制度下に移ってもらう目論見だ。しかし、それは焼け石に水ではないか。ベッドが空いている限り、新たな患者が「作られる」のを防げようか。
ここに至れば、何でも受け入れる愚かな患者から、疑問を持つ賢い患者に変わる人が増えなければ保険財政の破局も救えないことが理解していただけよう。個人の生命を守る意味と同時に、医療情報には限られた医療資源を互いに賢く使ってこの社会を維持する効果も求められる。保健医療情報システム検討会の資料にはそこまでは書かれていないが、望む気持ちは垣間見える。問題は誰がどうやって実現するかだ。(了)
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