老人医療負担で健保大赤字 世代間対立に医師過剰の影(20000803)

 サラリーマンが加入している健康保険組合の連合会は「平成12年度の予算状況」で,全組合あわせると年間3300億円の赤字を見込んでいた。通常国会で健保法,医療法の改正案が廃案となったため,さらに巨額の赤字を背負う。近年,老人医療費の急増に歯止めがかからず,健保や国保がその7割を拠出,残りを公費でみる仕組みになっているためだ。

 既に年金をめぐって,もらいすぎの高齢世代と,受取額に比べ保険料を払いすぎになる若い世代という対立関係が生まれつつある。遠い先の老後ではなく,目先の懐具合でも世代間の対立が激しくなりそうだ。

 第一生命のレポート「新しい老人医療保障システムは自助努力併用で」は「老人は果たして社会的弱者か」と疑問を投げかける。70歳以上の所得水準は,年金など所得再配分の仕組みをくぐると20代を上回り,30代の世帯と変わらないという。

 老人医療費抑制がきかない理由のひとつは,医師過剰が現実になっているからだと考えられる。医療費の伸び方を厚生省の統計から見よう。


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