問題はどれだけの医療水準をめざし,どれほどの金額ならば将来ともに社会的に負担していけるか,きちんと詰めることだ。医療費抑制にだけポイントを置く政府に,そうした視点は希薄である。一方,医師の側も既得権益を守りたいのが本音であり,利益代表である代議士による発言文書「第4次医療法改正について」から,それが読みとれよう。

 「従来、厚生省は日本の医療機関の薬価差について『1兆円超』と繰り返してきました」「昨今、薬価差解消で関係各方面の意見が一致し、技術料への振り替え論議が焦点となった途端に、4,700億円しか薬価差は存在しないと言いはじめたのです。私の試算では現在でも薬価差は1兆8,000億円あります。これを正当に技術料へと振り替えるよう、強く働き掛けていきます」

 薬価差とは,健康保険の支払いで認められた薬の値段よりもずっと安く,薬を病院が仕入れられることから生まれた副収入だ。医師の側は上記のように、これを技術料として振り替え,公認させようとしている。

 こうした薬をめぐる不透明さも老人医療費急膨張の一因である。高齢者に対して薬剤の自己負担分を昨年7月から一部免除したことが大きく作用し,外来通院での投薬が増えた。6月までの老人医療費増加率8.8%が,10.7%へと一段と増した。


▼ご感想はメールで
7.前項 8.目次