そのような炉を計画できるところまで来たと感慨を持つだけなら、科学者の勝手なロマンである。国際熱核融合炉を国内に持てば、運転によって発生する放射化廃棄物の始末もしなければならない。原子力委報告「ITER計画懇談会における論点の整理と今後の課題について」の付録「ITERの安全性等についての取り組み」は、放射化物を最初の10年間で700トン、高性能運転への移行で2800トン、後半8年でも700トン、運転終了時に本体構造物5万2000トン、コンクリート1万5000トンなど淡々と記載しているが、臨界事故を経た国民が実際に何が行われるか詳細に知ればどう考えるだろう。

 また、この計画自体がもくろみ通りに易々と成功するとは思えない。推進の柱だった米国が「10年で1000億円掛けたのにものにならない」と手を引いた際に書いた、私の連載コラム第59回「未来エネルギー核融合の挫折」に詳しいので参照して欲しい。実用炉になる可能性は極めて薄い。

 ひとつだけポイントを挙げると、「地上の太陽」と言えるプラズマ造りは進んでいるが、それを安定に囲っておけるだけの工学的な技術は決定的に力足らずである。特に材料面での遅れは深刻だ。膨大な中性子線を浴びてスポンジのようにぼろぼろになって取り替えは頻繁になり、放射化したら何年も元に戻らない。大学人が集まる核融合科学研究所の将来計画検討小委第3回議事録でも「ネックは材料だ。材料のデータなしで議論してもナンセンスだ」との発言がある。 (了)

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