ケータイの潜在能力を凝らし見る(20040204)

 2003年末の携帯電話契約数が7978万件に達した。これと別にPHS契約が522万件あるから、8500万台のケータイが存在していることになる。今年1月初め発表の電気通信事業者協会(TCA)の「契約数」にある。世帯普及率が問われる家電製品とケータイが決定的に違っているのは、個人普及率の高さであり、実に7割にもなるのだ。ブロードバンド化とかテレビ放送が見えるようになるとか、ハイテク系の装備が相変わらず売り物になっているが、今年はケータイと周辺で今までにない動きが表面化する年でもある。高い知的潜在力を備えた携帯機器が化け物のように普及した今、使い方を見直せば全く違う生かし方・現れ方が潜んでいると考えるようになった。

個人の健康管理ツール化は必至

 いつも決まった個人のそばにあるのだから、まずカロリーの消費と摂取の両方を継続的に管理する機能を直ぐにでも開発して欲しい。毎日のカロリー出納が年間通して記録できるものが出来るはずだ。肥満・体重管理に悩んでいる多くの人から絶大な支持を得られるだろう。カロリーを入れる方も出す方も、自分でコントロールしようとする意欲は飛躍的に高まろう。

 そんなに難しい技術ではない。現在は見あたらないが、かつては携帯型のカロリーメーターが1万円ほどの商品として売られていた。小さな加速度計を内蔵し歩いたり走ったりの運動強度を刻々割り出し、持ち主の体重とかけ算して消費カロリーを自動積算していた。ケータイにこの機能を付加して使えばいい。ポケットに入れて動くと中で躍るから測定が不正確になり、ベルトのケースにでも入れて固定する必要があるが、今でも、そうしているビジネスマンは多いはず。カロリー消費には運動によるのと別に、体温を保つための基礎代謝があり、寝ころんでいても何もしていなくても一定量が使われるのは、皆さんご存じの通り。この推計は体格を知ればできるから自動積算は容易である。

 カロリー摂取の方はこんな自動化は難しいが、代表的な食べ物をケータイの画面で並べ、食べたものを選択する方式でも作れば入力の煩わしさから逃げられる。社員食堂などでカロリー表示があれば、もっと簡単だ。なお、食べた食物を胃腸で消化するのに1割ほどのカロリーを消費するので、これは消費側に差し引かねばならない。食後の体温上昇はこのために起きる。

 ここまで書いて、加速度計型のカロリー消費計が無いはずがないと、念のために検索したら、次の記事が見つかった。「米国ニュービジネス発掘−45−独自技術の機器提供で差別化 健康・医療情報提供サービス 」にこうある。「CT1は、ポケットベルのような形をしており、万歩計のように腰につけると、体の動きを測定、記録し、燃焼したカロリーをモニターする」「これをコンピューターに接続したドッキングステーションに差し込むだけで、CT1のデータがウエブサイトにアップロードされ、自分専用のページで燃焼カロリーのグラフが表示される」「グラフは過去24時間、1週間、1ヶ月、1年単位で、点線、棒線、または3Dグラフで表示可能だ」

 このニュービジネスはウェブ上で集計して商売にしているが、現在のケータイほどの能力があれば、間違いなく自己完結できる。超えるべき山は加速度計チップを内蔵するだけのことである。ほぼリアルタイムに自分のカロリー出納がケータイの画面に出てくる日を期待して待とう。

 米国の例と似た発想の未来プラン「女性の生理(月経)を携帯電話で管理」というサイトも見つけた。妊娠の管理に使うのだ。このような個人データを意味がある連続データとして、ケータイ本体に取り込めるようになって、ちっともおかしくない。ケータイのソフト屋さんにそこまでの目配りが出来ていないだけだ。

(次項「存在証明は社会の在りように響く」へ)


8.目次 9.次項