想定範囲に担い手は存在しているか
米政策改革大綱では新たに、専業農家に対して「担い手経営安定対策」が用意された。農家なら北海道で10ヘクタール、他の都府県で4ヘクタール以上の経営体、そして一定期間内に法人化する集落営農体なら20ヘクタール以上の規模には、コメ価格下落分の8割を補填しようとする。
この設定で、既に苦しみ喘いでいる専業農家が安心出来るかどうか。コメ価格がこれまで通り下がり続けるなら、難しい面があるし、コメの商品性をどう磨くか、地域ごとの問題もあるので一律には言えない。ここでは、零細農家コメ作りの維持に可能性をもたらすとあって、急に脚光を浴びている集落営農の問題を考えたい。
新コメ政策上では、全農などは法人化条件などを緩和して集落営農を出来る限り多く「担い手経営安定対策」に組み込みたいと狙っている。集落営農の具体例としてJA滋賀「みんなでがんばる集落営農」をあげる。稲作の条件が比較的良い滋賀では、先進的な集落営農が確かに存在している。
しかし、国内全体ではどうか。岩手日報の企画「コメ改革始動」の「(4)担い手への集約」には一般的な農村の状況が見える。なんと、岩手県内では、60歳未満の男性専従者のいる中核農家は2010年には1集落当たり1.4戸にも減ってしまうのだ。岩手大農学部の木村伸男教授による「経験的には集落当たり3戸を下回れば黄信号、2戸未満は赤信号。すでに集落機能の後退は深刻な状況だ」との警告は切実である。
問題の所在は、法人化して経営効率を上げるところにあるではない。新コメ政策が設定している近未来段階で、担い手の存在そのものに疑いがある。21世紀の食を支えられるか。私の連載第21回「コメ作りの破局を見ないために」(通勤ブラウザ経由・iモード可)で提出した問題意識は依然として有効である。(了)
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