ニュースサイトが生む津波アクセス(20021221)

 インターネット上、テキスト閲覧の“津波”が日々あちこちで繰り返されているのご存じだろうか。そこに有名アイドルの水着写真があるからでは決してなく、一時なら「ダサイ」と言われても仕方なかったテキストが標的になっている。仕掛ける主役は近年、急増した個人運営によるニュースサイトであり、日記サイトである。連載第127回「音楽産業は自滅の道を転がる」が、この津波に見舞われた。第118回「iモードは日本でしか成功しない?」に次いで2回目。第118回は津波が大きすぎてアクセス記録を急ぎ破棄する必要に迫られ実態をつかみきれなかったが、今回は公開30時間で1万アクセス、半月間で2万アクセスと手頃な大きさに収まった。裾野まで含めた巨大さを改めて認識した。

 日記サイトなどは、この名前付けを私は好まないが、米国では「ブログ(blog←Weblog)」と呼ばれている。Newsweek「ブログ空間の愉快な生活」が伝えるように「昨年9月11日の同時多発テロ後、市民の間には『何か言いたい』という欲求が高まった。そんな思いを満たすのに、ブログはおあつらえ向きの媒体だった」という。

 日本のサイトがそれを引きずる必要はないし、一般的な呼称としても熟していないから、国内で通りがよい「ニュースサイト」の方を優先する。

 まずは第127回「音楽産業は自滅の道を転がる」に起きたことを見たい。半月間で上位47サイトからのアクセス件数は合計9427。20件未満の200サイト分が3000件程度。そして、私のサイト常連さんと検索サイト経由分など合わせて7000件という分析結果が出た。津波現象には、今回だけで数百人の手が関わっている。

 1、3位で合計4000以上あるのが「俺ニュース」。しかし、元サイトのアクセス量は不明。2、7位の「かーずSP」は多くのテキストサイトが参加する「ReadMe! JAPAN」のランキングで、1日1万件ほどのアクセスを持つと知れた。後日の来訪者もかなりあったから、掲載初日に限れば、10%程度が反応してリンクをクリックしたことになる。5位のは例の「2ちゃんねる」。掲示板サイトもかなりあった。実は1日数万のアクセスを持つニュースサイトがまだまだ多くあり、第118回では当方に連日2万人も来られてログ容量がパンクした。みんなが乗るネタなら、現実に10万アクセス以上の巨大な波が出来る。

 どんなニュースが好まれているのか。発信元は新聞社サイトからのニュースもあれば、INTERNET WATCH、CNN、ZDNet、企業、そして、個人発のニュースと様々。内容もハイテクもの、社会面ネタ、食の話、娯楽もの、便利グッズ、有名人の消息……。

 運営している側が、こうしたニュース発信元やシンパシーを感じているニュースサイト、日記サイトの動きを、一々見て回っていては時間が足りない。自動巡回の機能を提供する「はてなアンテナ」などを利用、更新ぶりをチェックし、気に入ったものがあれば取り上げる仕組みが広まっている。どこを見て回るのかリストを明示することが、そのサイトの性格表明にもなっている。(次項へ)


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