合計特殊出生率が東京で衝撃の1.00(20020826)

 6月10日に発表された「平成13年人口動態統計月報年計(概数)の概況」に大きな衝撃を受けた。合計特殊出生率――女性が一生に産む子供の数を示す、この数字が2001年に東京で「1.00」にまで落ち込んだ。2000年国勢調査時点で「1.07」と発表されたときにも早い下落と思ったが、落ち方は意外なほど加速している。長期的に「2.08」あれば人口が維持されるが、今回の東京の数字は半分以下でしかない。全国平均はまだ「1.33」とはいえ、これまでの晩婚化・少子化の進行で、東京の指標は10年、20年単位で全国に先行する傾向にあった。東京で起きていることをどう見ればよいか。

 昨年書いた第107回「非婚化の進展をITが阻み始めた」で開発した、世代ごとの未婚率減少傾向を計算する手法を今回も使ってみる。例えば1995年国勢調査で35〜39歳だった世代は、2000年調査時点では40〜44歳になっている。5歳年上に移行していることを考慮して婚姻関係別に整理、差を計算してやる。

 iモードでは大きい表は表示できないので、未婚区分に絞って東京と全国の5年間の変動を比較する。

★2000←1995に起きた未婚区分の年齢階級別変動
※単位は「ポイント」だが%と同じ

男性]東京 全国
20/ -3.3 -6.8
25/ -16.9 -23.9
30/ -23.0 -24.4
35/ -14.3 -11.3
40/ -6.5 -4.0
45/ -3.2 -1.7
50/ -2.0 -1.0
55/ -1.2 -0.6
60/64-0.9 -0.5

女性]東京 全国
20/ -6.5 -11.4
25/ -26.3 -32.8
30/ -22.4 -21.6
35/ -8.5 -5.8
40/ -2.9 -1.4
45/ -1.3 -0.4
50/ -0.8 -0.3
55/ -0.5 -0.2
60/64-0.5 -0.2

 東京では20代の結婚離れが全国と比べて著しいことが分かる。一方、第107回「非婚化の進展をITが阻み始めた」で中高年世代が結婚を諦めなくなったと分析した。この傾向は東京でさらに著しく、未婚者の減少ぶりが男性の40歳以上、女性の35歳以上ではっきりしている。(次項へ)


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