世界常識と離れすぎ たばこ健康被害をめぐる国内(20000821)

 たばこの健康被害をめぐって,7月14日に米国であった懲罰的な判決「フロリダ州地裁がたばこ5社に1450億ドルの賠償命令」。日本円に換算したら15兆円を上回り,新聞記事を見て驚かれた方も多いだろう。

 米国のたばこ業界は98年に全米46州政府との間で2030億ドルと,民事訴訟史上最高額の和解をしており,さらなる風当たりの強さに,日本との違いを感じてしまう。

 国内では今年2月に厚生省が「健康日本21」で10年後に喫煙率を半減させるスローガンを掲げようとしたら,たばこ関連業界と族議員の抵抗にあい,一時は取り下げた騒ぎが記憶に新しい。もともと低い喫煙率を下げようというのではない。男性で5割を超える,国際的に見て異例に高い現状を他の先進国並に引き下げようとするだけのことだ。

 国内でも98年に,日本たばこ産業(JT)と大蔵省を相手取って「たばこ病訴訟」が起こされた。損害賠償は1人1000万円,合計7000万円の規模に止まるが,同時に自販機による販売禁止や明解で厳しい有害表示などを求めている。

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