米国のように訴訟は進んでいない。実は,米国たばこ業界が負けるのには理由があった。有害性や中毒性をかなり早い時期から認識しながら,市民に知らせるどころか,むしろ中毒性を商売の材料にした。それを証拠立てる「タバコ文書」が外部に持ち出された。これから,たばこ各社の不法行為が証明できるのだ。一連の経緯は私の連載コラム第71回「新・たばこをめぐる日米の落差」で詳しく紹介している。
しかし,JTは知らなかったと言い続ける。そればかりか,昨年春には米国の大手ナビスコ社の海外たばこ事業部門を78億ドルで買い,世界第3位のたばこ会社になった。膨張する国民医療費の抑制とも絡んで,たばこと健康の問題に世界的な関心がさらに高まっていくことは誰にでも予想できる。米クリントン政権が問題にしている理由もそこにある。
国内の喫煙率は,JTによる調査ではだらだらと下がり続けているが,私は信用していない。調査手法が厳格な厚生省国民栄養調査によると,決してそうではないからである。「成人喫煙率」は平成7年に大きな反騰があり,昭和末期の状況に戻ってしまっていることを示す。
この国は,民も官も業もどうかしているのではないか。