「定年制撤廃こそ蓮実学長がすべきことだった」と主張している私のコラム,時評「東大定年延長を止めない不思議」は「『任期制等の評価制度』実現が容易でない事実に目をつむって定年延長だけ先取りし,誰も止める者がいない。驚くべき怠慢,政府も政治家もマスメディアも……」と指摘した。事実はやはりそうだったのであり,誰がどう評価するのか,欧米と対比した第13回「大学改革は成功するか」で取り上げているように根本から見直さねばならない。
益田名誉教授のホームページには,「名誉教授24人の意見」が載せられていて,定年延長の問題が大学だけの狭い範囲の問題でないことを訴える声がある。
例えば,黒川清氏は「日本の国立大学の教授は,一方で身分の保護とフルタイムの給料の上に企業との兼業を要求しながら,他方で若い教官に対しては任期制を検討するなどというおかしなことをやっています。日本のエリート構造と精神が腐敗してきていると強く思います」「警察・官僚だけでなく,東大の教授も含まれます。こうしたことが下位組織のモラルの低下に影響を与え」たと断じている。
阪大の岸本忠三学長は「優秀な人は65歳どころか,さらに長くいられる方法も検討したい」と柔軟な制度を模索しているようだ。外部評価の導入などは既得権益とぶつかり容易に実現できる事柄ではないが,真剣に取り組もうとする大学が現れただけでもインパクトはある。 (了)
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