臓器移植法施行から3年 ほど遠い定着への道(20001013)

 臓器移植法施行されて満3年になる10月,「臓器移植推進月間」として各地で臓器提供意思表示カードの普及などを呼びかける行事が行われている。施行後初の臓器提供が高知であったのが,昨年2月。それから20カ月の間に,8例の臓器提供があった。提供臓器の行き先を含めて詳細は「脳死での臓器提供例についての記録」にある。

 昨年2月から6月までで4例,今年にはいると3月から7月で4例である。提供者が現れるペースは国民への浸透とともに上向くと期待されていたが,年間5,6例のペースが続いているだけだ。移植を推進しようとしている人たちは「こんなはずではなかった」と思っていよう。

 そんな折,日本臓器移植ネットワークの調査で,法施行後,今年7月末までに,意思表示カードを持ちながら移植に結びつかなかった例が全国で235件もあることが分かった。66%が心停止後に連絡が入り,60%が提供可能施設以外にいたから,これら3分の2はもともと問題外だろう。脳死と見られているのは全体で34例あり,こののうちどれくらいを移植に結びつけられたかが問題だ。


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