医療関係者が手を尽くしていれば,残る3分の1の,さらに半分程度は提供に至ったかもしれない。しかし,この調査によると,医療現場の病院関係者は患者が意思表示カードを持っているか,積極的に尋ねていないという。メディアが伝えるところでは,提供施設の拡大のほかに入院時に全患者にカードの所持を尋ねたりすることが対策として考えられているようだ。
私は連載しているコラムで2例目の提供があった後に,時評「脳死臓器移植に見えた底の浅さ」(通勤ブラウザ経由・iモード可)を書き,提供者が急増しないのは,根底に医療に対する不信があるからだと指摘した。医療現場が積極的にカード所持を尋ねていないことを知って,ある意味で現場の健全さを感じている。医者が最もしなければならないことは,自分の患者をどう救命するかであり,ある瞬間までは「100%」それだけでなければならない。
「医療を考える会」は,提供8例の内4例で,ずさんな脳死判定がされたとして各地の弁護士会に人権救済の申し立てが行われていることを示している。例えば,福岡であった8例目の「人権救済申立書」は判定途中で無視された「咳反射」の存在について説得力のある議論をしている。最初の提供例を含めて,脳死判定上の不備は繰り返し報道されてきた。