田中氏はネット上で目を付けた世界のホームページを毎日、自動巡回ソフトを駆使して徹底的に情報収集し、膨大な資料を読み倒した「上澄み」でニュース解説を書く。不勉強な記者がいきなり何人かの専門家から話を聞いて走り書きした記事とは本質的に違う。

 もうひとつ、やはり99年春の日産自動車とフランス・ルノーとの提携。高効率の代名詞だった日本的生産システムを駆使して向かうところ敵なしだった自動車産業の陰りに、やはり既成メディアは、日産の再建は可能かといった視点でしか取り組まなかった。

 私の連載コラム第68回「日本の自動車産業が開いた禁断」が提供したものは違う。

 「かんばん方式」などで知られる日本的生産システムは、様々な無駄をそぎ落として優位に立つものの、インターネットで研究が公開されているように欧米自動車産業側にも広まり、歴史的な労働慣行などで縛られていた制約を解き放ち、果てしなく続く過酷な競争へ「禁断の箱」を開いてしまった。そうなった現在、この国のホワイトカラーの生産性の悪さ、さらには官僚と政治家の生産性の悪さは決定的な意味を持つと説いた。事態はそう進んでいる。 (次項へ)


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