次世代DVD、色あせ始めて規格統一へ [ブログ時評19]

 次世代DVDとして別々に開発が進んでいる「ブルーレイ」と「HD DVD」の規格統一が出来そうとのニュースが流れた。両陣営を代表するソニーと東芝がお互いの長所を持ち寄って新しい規格を作る交渉をしている。家庭用VTRでベータとVHSに分かれて規格争いをした、過去の苦い経験を繰り返さないためにも消費者重視を歓迎する声が多い。しかし、現在のDVDも2層式の書き込みが出来るようになり8.5GBに増え容量不足は一息つけそうな状態。さらに200GBもある次々世代ディスクが名乗りをあげてしまい、次世代DVDの単層なら20〜30GBと中途半端な容量は魅力を失いかけている。

 「次世代DVDねぇ・・・」(God's in his HEAVEN?)が現在の家庭ユーザーの不満を代表している。「サッカーにしても舞台にしても、2時間半あると丁度いいんだけど。次世代よりも、片面2層のディスクを売ってくれんか」と思い、自宅のDVDレコーダーの説明書を読んで「調べたら焼けなかった。というか、焼ける機種ってまだ発売されてない?」と気付く。既に1枚1000円余りで2層式の生メディアは売られている。値頃感が出るには半額程度に下がって欲しいが、DVDレコーダーの新機種にその機能が搭載されるのは間もなくだろう。

 「ほんとに求められてるの?」(地方声優の日常)も辛辣である。「昨今の廉価版やBOX攻勢で、各家庭でのDVDソフト資産もかなりのものになっているはず。それを顧みることなしにほとんど互換性のない新世代規格なんか出して、消費者がほいほい買い換えてくれると思う方が間違いでしょ」

 ユニバーサルデザイン(UD)に関心を寄せている「ALS そして、僕の生きる道。」の「これもある意味UD」は2月に発表された次世代光ディスク「ホログラフィック・バーサタイル・ディスク(Holographic Versatile Disc、HVD)」に注目している。「容量がブルーレイ:54GB、HD DVD:36GBに対し、 200GBと4倍以上あるのです。HVDが本格的に商品化される前に現行の規格を早く普及させ売らないと、今までの苦労が水の泡?になりかねない恐怖心の現われかもしれません」。HVDは2007〜8年に製品化され、2010年には本格普及を目指しているのだから、成り行き次第では次世代DVDは短命に終わるかも知れない。

 今の時点で次世代DVDを渇望しているのは米国の映画産業らしい。米国の家庭にハイビジョンが映る高精細テレビが10%まで普及した。映画ソフトをハイビジョン版にして売り出すチャンスが訪れたと感じているようだ。フィルムに収められている画質は現在のDVDビデオでは表現できていない。AVマニアにはハイビジョン映画ソフトは確かに魅力的である。

 ところが、その差がわかるには高度な装置が要る。「次世代光ディスクの規格統一に関する新聞報道について 」(酒井俊之のシネマラ攻略大図鑑)は「いつか来る次世代DVD」より、今あるD-VHSデッキでハイビジョン録画しましょうと書いている。そのコメント欄で、かつどん氏は「今のDVD、画質がそこそこでも、良い再生機材使えば100インチぐらいだとHVとそんなに遜色ない」と主張している。

 ハイビジョン放送が映るテレビを持たない方でも、新しいパソコンがあればハイビジョン画質とDVD画質を見比べることが出来る。マイクロソフトが「WMV HD Content Showcase」にサンプルを並べている。ハイビジョン版とDVD版の2枚セット(リージョン制限あり)がamazon.co.jp経由なら国内でも買えるが、そこまでしなくてもハイビジョン版サンプルをダウンロードして見るだけでも感じが分かろう。確かにひと味違う、波頭の砕け方など印象的な高精細感だが、新しいDVDビデオを同様に見ると、映画を見る分にはかなり健闘していると思う。公式には2.4GHzのパソコンが必要とされるが、会社で使っているペンティアムMで1GHz、RAM512MB搭載のノートパソコンでも視聴可能。「Media Player Classic」という動作が軽いフリーソフトにも一役買ってもらっている。

 さて、自分なら映画鑑賞用に買うだろうか。良いテレビがまず必須だから買い替えてからの話になる。テレビ周辺にまた新しい機器を入れるのは困るかもしれない。今ある機器のどれかと置き換える形が良い。また、パソコン用になら、やはり200GBのHVDに惹かれてしまう。