団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

映像コンテンツ視聴生活に新しい局面 [ブログ時評38] (2005/11/08)

(「ブログ時評」に同文掲載。TBなどはそちらに)

 アップルコンピュータの新型iPodの小さな画面で見る1本300円のビデオクリップが、スタートから20日間で100万本以上売れた。「iTunes Music Storeからのビデオダウンロード、はやくも100万本突破」という11月1日のニュースが国内の放送業界にも波紋を投げている。翌2日に大阪で開いた民間放送全国大会のシンポでも早速、取り上げられた。放送関係者は放映したコンテンツをネットでも売れるようにしなければバスに乗り遅れると捉えている。いわゆる放送とネットの融合だが、道筋はそれだけだろうか。ひょっとすると、いまテレビ界が支配していた映像コンテンツ視聴生活が、ネットベースに大きく様変わりする契機になるかもしれない。既に「iPod Movie for Windows」(Information from Overseas)のように手持ちビデオコンテンツをiPod向けに変換する人も出ている。

 様変わりを思わせる基盤が別にある。ベータ版ながら9月からGoogle Videoが専用ソフトでなくても見られるようになった。時間がある時に遊びに行ってほしい。ブログを観察していると、アニメなどのクリップを見つけている人が多い。(一例 http://wxxxlog.jugem.jp/?eid=82)それだけでは、もったいない。現在は英語入力なので何かと不自由だが、例えば「tsunami」と入れて探せばインド洋大津波の模様を撮影した素人ビデオがいくつも見つかる。グーグルビデオは、お金が無くて自分ではサーバーを持てない人から、ビデオのアップロードを認めている。映像ニュースを伝えるのがテレビ局である必要は無くなるということだ。「earthquake」と入れればパキスタン大地震のビデオが出てくるのだから、次にこうした大災害が起きたとき、どんな映像が出てくるか注目である。

 アップルのビデオクリップは買わなくても、プレビューでも結構楽しめる。「iTunes6」をインストールすれば簡単に見られるから、これも試みて欲しい。Google Videoの世界と合わせて、広大な新領域が視界に広がる。本格的に日本産コンテンツが加わったらどんなだろうと想像してしまう。あまり目立たないが、市民が撮影したビデオが相当なボリュームに達しつつある。Google Videoの本番が動き出せば、そうした市民ビデオに脚光を浴びせるだろう。例を挙げれば「市民のビデオ ライブラリー」とここからリンクされているサイトで、各地の風景や行事、音楽ライブやニュースなどの作品が提供されている。高速回線を持っていればハイビジョン映像がそのまま見られる。

 新聞、特に全国紙にも取材網を生かした新しい可能性が開けると思う。別にテレビ番組を作ろうというのではない。デジカメで撮れる1分間のビデオクリップを全国各地から毎日100本、200本集めるくらいは、全国に展開している取材網で出来る。各地の行事・食・風物など集めるジャンルや、どう味付けして使うかで、色々と差別化できるだろう。1年掛ければビデオクリップ3〜6万本を日本地図の上にびっしりと並べたライブラリーになる。例えば、どこかを旅している人に、気になる場所のピンポイントのビデオクリップを、ケータイやカーナビで引き出して見せるビジネスだって出来る。iPodに対抗しようとしているソニーの携帯ゲーム機PSPなども含めて、多彩なビデオクリップを携帯機器で楽しむライフスタイルが一般化すれば、テレビディスプレイに括りつけられている視聴生活の常識が崩れるのではないか。



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