民主党「送金メール」問題と情報源秘匿 [ブログ時評49]
総選挙の惨敗から盛り返し「4点セット」で小泉政権を追い込もうとしていたはずが、ライブドア・堀江前社長の「送金メール」が虚偽と判明し、民主党への信頼感が一気に吹き飛んだ。記者会見で永田議員が疑惑の存在に未練を残し、きちんと一度謝れば済むことを何度も謝らなければならなくした手際の悪さに加えて、最後の幕引きに至っても幹部たちの言動は不可解だ。前原代表は「メール情報の提供者は、守るべき立場の方ではない」、鳩山幹事長は「党にとって加害者だ。法的措置を取ることも考えないといけない」と述べ、氏名公表も検討するとした。たとえ悪意で持ち込まれたとしても、疑惑情報を使う決断をしたのは民主党であり、情報源の公開は大政党のトップが口にしてはならないはずだ。
3000万円を自民・武部幹事長の次男に振り込めと指示した疑惑メールの真偽を、衆院予算委員会で追及に立った永田議員が確かめる作業を怠ったことに、失態の原因、全てがある。当のメールがどんな経路で送られたかなどを示すヘッダー部分を入手していないどころか、発信元と受信者のメールアドレスを黒塗りにした印字メール本文しか手に入れていなかった。虚偽ではないかと騒がれ始めてから民主党が手に入れた黒塗り無しのメールでは、堀江氏が特別の場合に使うと説明された発信元アドレス、指示を受けたとされた受信者アドレスのいずれにも、情報提供者名を思わせる同一アドレスが書かれていた。公表は黒塗りでしか出来ないとしても、何が書かれているのか確かめないで本物であるとの心証が形成されるはずがない。それなのに元記者の説明を裏取りをしないで信じた永田議員と、複数の目で確かめて個人の思い込みをなくす指示をしなかった野田国対委員長は決定的なところを踏み外した。
「★送金メール問題で民主党が終わった・・・★ 」(Do It Yourself!!)も「もっとも情けないのはメールの情報の『ウラ』をとらず文面をそのまま鵜呑みにしていたこと。そして深刻なのは党代表がそれを『確信の持てる情報』などとしていたことです」「個人的には今回の問題は単なる『確認ミス』というよりももっと深刻な根本的な民主党の問題があるような気がします」「読み解くカギは『実務力』の有無だろうと思います」と、疑惑情報の処理にまつわる力量への疑問、根の深さを指摘している。
そこで、「しかりしろ民主党2」(牛仙人のひとりごと)が「民主党が公党としての責任を果たすためには、まず真相を究明することだろう。まずメールを永田議員に持ち込んだフリーライターに対する追求は法的な手段を含めて行うべきだろう。相手が弁護士をつけているからなのかいまだに実名すら明らかにしていない。しかしこれだけの騒ぎを引き起こした責任がこのフリーライターにはあるはずだ」と求めるような発想がブログ中に広まっている。テレビに引き出せ、とまで言う、名の通ったブログさえある。
もちろん、そんなワイドショー番組の作りで済む問題ではないと理解している人たちもいる。「『責任』について」(=日々是口実=)は「『メール問題』に関してはまず『ネタ元』が信用できる、という理由でメール自体の真偽についてを把握しなかった、というのが無責任そのもの。少なくとも黒塗りのない元のメールを入手して、本物と信じるに足りる裏づけを取って質問に至るのが当たり前でしょう」「本日現在、民主党では『ネタ元』への法的措置も考えている、ということですが国会の場に出す前に真偽をしっかり確認しておけば、こんな騒ぎに至らなかったことを考えれば、単なる責任転嫁としか思えません」と厳しい。
情報源秘匿はジャーナリストにとって自明の理だ。言論の自由とのかね合いがあって、政党が疑惑追及する材料にする場合と全く同じ扱いにはならない。しかし、目の前の情報提供者を守ることが、未来の情報提供者を呼び寄せる構造になっている点では同一である。完全無欠で非の打ち所のない情報でなければ、その欠陥を後日、責められて公表されるような相手に、今後、誰が重要な情報を持ち込もう。
その理屈に気付かない民主党である。「個人に責任を押しつける『責任ある政党』」(バビロン7の東奔西走狂詩曲)は「自分の党が不利益を被ったからって情報提供者を訴えようとするようでは、今後真っ当な内部告発やら暴露情報やらが民主党に流れることはなくなるでしょう。藁をもすがる勢いで情報を提供しても、民主党内部のミスが情報提供者に跳ね返ってくるようでは誰も近寄りたくはありません」「政党という組織が一介の三流ジャーナリストに対して赤っ恥をかかされた恨みを晴らそうとしているようにしか見えません」と不当さを指摘する。
前原代表が頼んで回っても引き受け手がなかったため、新たに国対委員長になった長老・渡部氏が、民主党全体を仕切る「代表選の前倒しも」との発言を始めている。前原代表の9月再選が無くなった程度では、民主党の危機は救えないと長年の政治感覚で判断したとみる。
3000万円を自民・武部幹事長の次男に振り込めと指示した疑惑メールの真偽を、衆院予算委員会で追及に立った永田議員が確かめる作業を怠ったことに、失態の原因、全てがある。当のメールがどんな経路で送られたかなどを示すヘッダー部分を入手していないどころか、発信元と受信者のメールアドレスを黒塗りにした印字メール本文しか手に入れていなかった。虚偽ではないかと騒がれ始めてから民主党が手に入れた黒塗り無しのメールでは、堀江氏が特別の場合に使うと説明された発信元アドレス、指示を受けたとされた受信者アドレスのいずれにも、情報提供者名を思わせる同一アドレスが書かれていた。公表は黒塗りでしか出来ないとしても、何が書かれているのか確かめないで本物であるとの心証が形成されるはずがない。それなのに元記者の説明を裏取りをしないで信じた永田議員と、複数の目で確かめて個人の思い込みをなくす指示をしなかった野田国対委員長は決定的なところを踏み外した。
「★送金メール問題で民主党が終わった・・・★ 」(Do It Yourself!!)も「もっとも情けないのはメールの情報の『ウラ』をとらず文面をそのまま鵜呑みにしていたこと。そして深刻なのは党代表がそれを『確信の持てる情報』などとしていたことです」「個人的には今回の問題は単なる『確認ミス』というよりももっと深刻な根本的な民主党の問題があるような気がします」「読み解くカギは『実務力』の有無だろうと思います」と、疑惑情報の処理にまつわる力量への疑問、根の深さを指摘している。
そこで、「しかりしろ民主党2」(牛仙人のひとりごと)が「民主党が公党としての責任を果たすためには、まず真相を究明することだろう。まずメールを永田議員に持ち込んだフリーライターに対する追求は法的な手段を含めて行うべきだろう。相手が弁護士をつけているからなのかいまだに実名すら明らかにしていない。しかしこれだけの騒ぎを引き起こした責任がこのフリーライターにはあるはずだ」と求めるような発想がブログ中に広まっている。テレビに引き出せ、とまで言う、名の通ったブログさえある。
もちろん、そんなワイドショー番組の作りで済む問題ではないと理解している人たちもいる。「『責任』について」(=日々是口実=)は「『メール問題』に関してはまず『ネタ元』が信用できる、という理由でメール自体の真偽についてを把握しなかった、というのが無責任そのもの。少なくとも黒塗りのない元のメールを入手して、本物と信じるに足りる裏づけを取って質問に至るのが当たり前でしょう」「本日現在、民主党では『ネタ元』への法的措置も考えている、ということですが国会の場に出す前に真偽をしっかり確認しておけば、こんな騒ぎに至らなかったことを考えれば、単なる責任転嫁としか思えません」と厳しい。
情報源秘匿はジャーナリストにとって自明の理だ。言論の自由とのかね合いがあって、政党が疑惑追及する材料にする場合と全く同じ扱いにはならない。しかし、目の前の情報提供者を守ることが、未来の情報提供者を呼び寄せる構造になっている点では同一である。完全無欠で非の打ち所のない情報でなければ、その欠陥を後日、責められて公表されるような相手に、今後、誰が重要な情報を持ち込もう。
その理屈に気付かない民主党である。「個人に責任を押しつける『責任ある政党』」(バビロン7の東奔西走狂詩曲)は「自分の党が不利益を被ったからって情報提供者を訴えようとするようでは、今後真っ当な内部告発やら暴露情報やらが民主党に流れることはなくなるでしょう。藁をもすがる勢いで情報を提供しても、民主党内部のミスが情報提供者に跳ね返ってくるようでは誰も近寄りたくはありません」「政党という組織が一介の三流ジャーナリストに対して赤っ恥をかかされた恨みを晴らそうとしているようにしか見えません」と不当さを指摘する。
前原代表が頼んで回っても引き受け手がなかったため、新たに国対委員長になった長老・渡部氏が、民主党全体を仕切る「代表選の前倒しも」との発言を始めている。前原代表の9月再選が無くなった程度では、民主党の危機は救えないと長年の政治感覚で判断したとみる。