団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

値下げ世論完全無視はメディアの自殺行為[BM時評] (2008/04/06)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 ついに4月1日が来てしまいました。ガソリン税など道路特定財源の暫定税率が失効して値段が一気に下がる事態になったのですが、年明けからの混乱ぶりを眺めていると、。自ら世論調査で有権者の意向が暫定税率撤廃にあることを何度も確かめながら、どのメディアも税率撤廃はもちろん、一度として税率の低減さえ主張しようとしなかったのです。メディアはだれの味方か。拠って立つのは市民の側なのか、権力の側なのか――非常に深刻な問題が表面化しているのに、各メディアの論説組織は全く気付いていません。これは完全な自殺行為です。

 時期が早い順にネットで参照できる世論調査を列挙しましょう。まず読売世論調査(2月16、17日)では「ガソリン税については、道路整備のために税率を暫定的に上乗せすることを、法律の期限が切れる3月末以降も『続ける方がよい』と答えた人は29%で、『やめる方がよい』が62%に上った」でした。

 毎日新聞世論調査(3月1、2日)では「3月末で期限が切れる揮発油(ガソリン)税の暫定税率を4月以降継続することには、『反対』が66%で、『賛成』の27%を大きく上回った」です。

 JNN世論調査(3月8日、9日)の結果は「国や地方の税収が不足することを重視し税率の上乗せを続けるべき」30%に対して「ガソリンの値段が高くなっていることを重視し税率の上乗せは止めるべき」は67%でした。

 もう失効が決定的になった朝日新聞世論調査(3月29、30日)では「国会で与野党の合意ができなかったことで、ガソリン税が4月から下がることについては、『よいことだ』72%、『よくないことだ』12%」と民意はさらに明らかです。

 世論調査を、新聞などのマスコミは何のために実施するのでしょうか。国民の意思を無視しがちな権力に対して、本当の民意はこうなっていると突きつける効果はもちろんありますが、メディア自身が市民社会と乖離しないよう足下を確かめるために使うのです。そう使わないで、論説委員らの頭の中だけで論じていたのが今回でした。

 一連の騒動が続いている途中、改革派として知られた片山善博・前鳥取県知事(現・慶応大大学院教授)が朝日新聞のインタビューに答えて、落としどころの一つとして「三方一両損」、つまり暫定税率分を減税、道路、一般財源に三分するプランを提起していました。全廃は無理でもこういう知恵こそ必要と感じました。福田首相は全面一般財源化を提唱しましたが、何でも使えるお金にして道路ばかり造られても困るので、道路以外分がはっきりするのは良いことです。

 4月1日になった時刻、福田首相の記者会見を見たブロガーたちが次々に記事を書いています。まれに審議に応じなかった民主党の横暴を非難する人もいますが、ほとんどの方は歓迎のようです。首相は何に対して詫びたのか、かなりお門違いと見られていますよ。

※追補=「田中秀征の一言啓上」特定財源問題?福田首相の「再議決はしない」の一言を待つが参考になります。



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