新聞社の政治部を吹き飛ばす『日本政局学』 [BM時評]

 ブログで政治の動向を読み解こうとすれば、この数年来「かみぽこぽこ。」を外すことは出来なかったでしょう。この春まで2年半、記事審査委員の仕事で社内向けに記事審査レポートを書き続け、傲慢で閉塞した新聞社内の雰囲気を打ち破るために社外の風を導入する試みをしてきました。その際、最も多く引用したブログの一つだと思います。

 その筆者「かみぽこちゃん」が連休中に「『日本政局学』構築プロジェクトを始めます。(後編)」とのエントリーを打ち出していらっしゃいます。「語弊を恐れず、あえて挑戦的に言えば、新聞社政治部で新人研修の教科書になる本にするつもりです」と、政治部の常識を打破する宣言をされています。小泉・安倍・福田政権の消長を横に見て、もう一度、過去のエントリーを読み返していただけば、この宣言がはったりではないと理解できるでしょう。

 私も新聞社にいて「大物政治家に話を聞いた」「消息通に話を聞いた」といった政治部の取材手法にうんざりしている一人です。もともと地方支局に勤務した時から選挙の当落判定に科学的な関心を持ち、科学部から地域報道部へと移る過程でブロック別比例区当落判定システム構築に携わった経験から、政治部とは全く違うセンスで政治過程と向き合ってきました。この数年来、政治部がどれほど読み誤ったことか。さらに政治部出身者が主導する傾向が強い各紙論説の酷さには、呆れるばかりです。

 「かみぽこぽこ。」を最初に取り上げたのは、2005年8月の小泉郵政解散へ賛成論と反対論まとめ [ブログ時評32]でした。政治学で英国留学中に書かれたエントリーは英国政治の常識から、郵政解散で小泉首相のしたことを鮮やかに浮き彫りにしていて、まとめの冒頭に引用させてもらいました。最近のエントリーでは「 小沢一郎はなにがしたいのか。(後編)」が印象に残ります。「閣僚の引き締めをするための政策に関する原理原則というものを福田首相が持っているのか、それがポイントだとも言えるね」と昨年10月の結語で書いているのですから、どこかの政治部よりは数段上です。”宣言”でも書かれているように、あまりに先に言い過ぎて最近は書くことが無かったという有り様でした。