内閣改造も臨戦態勢に見えない不思議 [BM時評]

 福田首相が大幅な内閣改造と自民党役員の刷新に手を着けました。このまま何もしないで、追い込まれて退陣に向かうとも考えられていたので、福田さんにしては思い切った行動とも言えます。しかし、このベテラン重厚布陣が、来るべき総選挙に備えた臨戦態勢に見えないところが不思議です。日経新聞は、首相が麻生氏に幹事長を依頼する際、2人だけで密談し「自分の手では解散しない」との言質を与えたとの観測記事まで書いています。人気がある麻生氏に禅譲してから総選挙というシナリオでしょう。

 ブログの動きを示す、テクノラティ・グラフを貼っておきましょう。1日が1300件くらいと予想外に少ない感じですし、前向きに評価しているエントリーはあまり無いようです。

過去90日間に書かれた、内閣改造を含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ: キーワード「内閣改造」に関するグラフ


 「フランス24が伝える福田内閣改造(音声ドキュメント)」がフレデリック・シャルル特派員のコメントを翻訳しています。「保守党は内閣改造を通して2009年9月まで続行するよう試みています。前倒しの総選挙は敗北が確実なので避けたいのです」「今日、議会は麻痺し、日本政治の当事者の1つも妥協に至ることは出来ず、日本は衆議院(下院)から参議院(上院)へ少ししか法案を通すことが出来ません」――傍目から見て、これが正直な観察でしょう。

 小泉構造改革路線が姿を消し、消費税の増税が見え始めた点ははっきりしています。税理士さんが書く「内閣改造・・・ でも、こんなんじゃぁ」は「これで、増税路線が確定したように思います。消費税も、次期選挙後に増税するツモリでしょうかね。こんな内閣じゃぁ、日本の前途はありませんね」と主張しています。「今日もクライアントのお客様がご相談に見えて、雑談も含めていろいろとお話しましたが、物価上昇、賃金は上がらず(上げられず)、しかも不動産の値下がりという不景気の現実は、政治が悪いという同意見でした」

 公明党は大臣2人との提案も辞退、国土交通相から環境相という軽量ポストに引っ込んで目立たないようにしています。閣外協力に転じるとの噂すらありました。来年夏の都議選の前後での総選挙は避けたい意向なのに、「ぐずぐず福田」では思い通りの展開にならないかも知れません。