後期高齢者医療制度廃止:現場の慨嘆・憤慨 [BM時評]

 19日に厚生労働相がぶちあげた「後期高齢者医療制度を廃止の方針」に自治体の現場でシステム作りをし、住民に説明している方のブログ「公務員叩きに物申す!−現職公務員の妄言」が痛く痛く反応していらっしゃいます。

 9/9の「敗戦が近い(今、戦艦大和の出撃ぐらい)」で、現制度について「国民への説明が足りなかったのは単純に自治体が説明するだけの時間を国が与えてくれなかっただけのことである。システムも安定稼動していなかったから事務も構築できず、となれば国民への具体的な案内も出来ない」「つまり、システム面にしても広報周知にしても、平成20年10月制度開始であれば恐らく非常にスムーズにいっただろう」「そうであればマスコミに叩かれることも無く、わざわざこのような制度改悪改変も必要なかったであろう」と思われている立場からすると、この方針転換は理解を超えています。

 9/20の「玉音放送が聞こえる」は「2ちゃんねる」風に風刺します。
  「廃止キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
   マジですか、これ?
   システムとかどうするんだよ」
  「厚生労働省にとっては既定路線じゃね?
   これが国保の県単位の統合につながるんだよ」
  「厚労省が自称立派な家を作った。
   雨漏りがするとみのみんたに言われた。
   新しい家を用意すると大臣が発言した」
  「で、その家も短期間の突貫工事で傾いているというオチ」
  「ちょっと疑問点あげてみた。
   (1)年齢で区分けしない
    社保に移行したい人は移れるの?老人保健以前に戻すの?前期の拡大?
    被保険者全員に意思確認の通知を送付するの?お金は?
   (2)天引きを強制しない
    現在、一部施行しているが完全開放になるってこと?
    介護や住民税はどうなるの?
   (3)世代間の反目を助長しない
    健康保険組合が破綻した原因は、後期よりも前期の負担枠を
    広げたためだが、前期にも手を入れるってこと?」

 最後の部分が真面目な疑問ですね。市町村の現場で実務について働いている人には、実は遙かに深刻な問題が発生しているようです。

 「本来であれば、制度開始後に発生するであろう初期稼動の不具合(とりわけ高額療養費といった非常に複雑な処理の)に対処し、来るべき未曾有の複雑な処理『高額介護合算』の構築に全力を注ぐ時期である」「だが、その貴重な時間とベンダの人的リソースは制度改変への対応に全て費やされてしまった」

 確かに、全国規模のシステムを変えるには相当の準備と人的・物的資源が要ります。制度改変第一幕でも十分でなかったのに、もう第二幕に移るという――これは誰も責任を取れない混沌世界に進んでいくということでしょうか。