快哉!日本人3人にノーベル物理学賞 [BM時評]

 このところ暗くよどんだニュースが多かったので、このノーベル賞受賞ニュースはスカッとして良かったです。3人の業績を組み合わせて受賞のパターンは最近の通例ですが、日本人3人というのがとても新鮮です。近年の理系の受賞例では3人の一角を日本人が占めるというのが通例でした。南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授・大阪市立大名誉教授(87)、小林誠・高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所元所長(64)、益川敏英・京都大名誉教授・京都産業大理学部教授(68)の皆様、おめでとうございます。

 南部さんも小林・益川理論も前々から候補に挙げられていたのですが、この組み合わせになるというのはちょっと意外でした。「対称性の破れ」というキーワードは同じですが、完全に一世代離れた研究者で、かなり違う研究なので、それをうまく切り取って評価する「知恵者」がノーベル賞推薦者にいらしたのでしょう。

 「ノーベル賞、南部・小林・益川3氏の略歴」を見てください。よく観察すると違いが見えます。南部さんは1978年に文化勲章を受けています。小林さんと益川さんは2001年になって「文化功労者」なんですね。南部さんの場合は早くからノーベル賞当然の感じですが、他のお二人はボーダーだと、少なくとも日本政府は考えていたことを示しています。

 それにしても、南部さんは87歳です。長生きされていて本当に良かったと思います。ノーベル賞の選び方は、ある研究分野が非常に発展しているとして、それを拓いたのは誰の仕事だったか、根源的なブレースルーは誰の手で行われたのかを見極めるものです。しかも存命でなければなりません。意外に早く逝かれた有力な研究者が日本人にも多々いらっしゃいます。