団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

中国のブログ記事に見る対日感覚の揺れ [BM時評] (2009/01/21)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 中国情報を流してくれるニュースサイトとして「サーチナ searchina.net」は便利な存在です。そこでは【今日のブログ】として中国のブログ記事が翻訳されており、昨年末から年始にかけての日中両国マスメディアの報道への反応が現れて興味深いので紹介します。

 中国青年報に年末、「日本がなければ改革開放は異なっていた」が出た時、ちょっと驚きました。「日本は中国にとって最大の援助国で、中国が外国から受けた援助の66.9%、金額にして2000億元余りが日本からのものだ。これらは中国の鉄道・道路・港湾・空港などのインフラ整備、および農村開発・環境保護・医療・教育などに幅広く用いられている」と明記してあったからです。故意に隠し続けてきた円借款の事実を国民に明かした意図は、対日感情の転換でしょうが、どう受け止められるかです。

 2005年5月の「反日デモ始末に苦渋の続きを思う [ブログ時評20]」で親日派の知識人が3兆円にのぼる対中国の円借款を数年前まで知らなかったエピソードを書いています。そこでは「北京の地下鉄に乗る時に『円借款のお陰』」とも思えるようになったが、「中国人の屈辱感」を長引かせるODAは廃止してよいと考える、屈折した心情が現れていました。親日派にして、出来れば円借款の存在をあからさまにしたくないのでした。

 「【今日のブログ】日本が最大の援助国だという事実を知って」はどうでしょうか。「『日本が中国にとって最大の援助国』との事実を発見し、しばし呆然とする思いであった」「ここで疑問なのは、改革開放から30年という時間が経過し、その間も日本は対中援助を行い続けてきたはずであるが、日本が最大の援助国であるという事実は、なぜ今になって公になったのであろうか」「つい先日、日本国民の対中感情がかつてないほどに悪化しているとの報道も目にした。以前であれば、日本と中国の間には積年の恨みがあるのだから、日本が中国に好感を持っていなくても何の不思議もないと、特に気にかけることもなかったであろう。しかし、日本が中国にとって最大の援助国であったという事実を知った今となっては複雑な思いがしてならない」

 やはり両国間の政治的思惑を完全に消化するのは無理なようですが、ようやく相互理解の芽は現れたと感じます。もちろん、このような方向の理解に進んでいかない人もいらっしゃいます。年明けの「【今日のブログ】日本人が中国に『親しみを感じない』理由は?」は、その理由として一つは毒ギョーザ事件など食の安全問題だとし、「もう一つの原因は、飛躍する中国を目の前に感じる複雑な心境に起因するものであろう。国際的な影響力を失いつつある日本を尻目に、国際社会での地位を確立し、日中間の距離を縮める中国を前に、日本人は優越感を失いつつあるのではないか」とします。やや唖然ですね。

 でも「【今日のブログ】日中経済の距離は50年?100年?」のような冷静なブログ記事があると知れば、やがて大きな谷も埋まるのではないかと思えます。「中国は『世界の工場』と言われて久しいが、この地位は全く胸を張れるものではない。中国社会科学院の研究員は、『日本企業はキーテクノロジーとなる基幹技術を有しているが、我々はそうではない。我々は手間賃を稼いでいるに過ぎない』と話していた。なぜ我々が現在の地位にとどまるっているか、それは基幹技術や先進技術を有していないからに他ならない」

 やはり冷静な目を持つ「【今日のブログ】地理的に近い日本、心理的に遠い日本」も「かつて日本にとって中国は学ぶ対象であったが、現代はそれが逆転しているのだ。我々は『大中華、小日本』という概念を捨て去らなければならない。それが出来てこそ、迅速に学習することも出来るというものである。そして、これこそが改革開放30年以来の最大の収穫であり、我々の心の持ちようが我々の未来を決定するのである」と主張しています。パートナーシップへの第一歩でしょう。

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