団藤保晴の
「インターネットで読み解く!」

専横のJASRACに落日?公取委、排除命令へ [BM時評] (2009/02/08)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 日本音楽著作権協会(JASRAC)に、公正取引委員会が独占禁止法違反(私的独占)で排除措置命令を出すと事前通知したニュースは、ネット上、かなりの期待感をもって受け止められたようです。2001年の「著作権等管理事業法」施行までは、JASRACが音楽著作権管理事業を公的に独占していて、ここで新規参入が出来るようになったのに実効が上がらなかった――そこにメスが入ろうとしている訳です。

 年間1000億円と言われる楽曲使用料の徴収・分配の不透明さはこれまでも耳にしてきました。今回、問題になっている放送局との場合、「包括契約」と呼ばれる形態の契約を締結し、JASRACが管理する楽曲は使い放題とする代わりに、放送事業収入の1.5%を得ることになっています。それが2007年には265億円に上りました。誰のどの曲が何回使われたか、全く把握しないで巨額収入があり、どうやって権利者に配分するのか、傍目にも心配です。

 「JASRAC:新規参入を制限 公取委が排除命令の方針」は「『包括的利用許諾契約』とは、要はグロスで幾らのどんぶり勘定。例えば、JASRACに管理委託した自分の曲がいま見ているテレビ番組のバックで流れたとしても、その一回の使用に対してきちんと対価が支払われるわけではない、ということ。ラジオ局で何月何日に放送された、ってことまできちんと報告をしてきたGEMA(ドイツの著作権管理団体)の明細書を見たことがあるが、そんなものはJASRACは発行しない」と、杜撰な仕事ぶりを指摘します。

 昨年、公取の検査を受けた際に、JASRAC側は「『いったいどこが問題なのか』――JASRAC加藤理事長、公取委の立ち入りに『不満』」で、利用側の利便性を考えているだけだと釈明していますが、実は放送局との間で楽曲使用の記録を残すための準備作業を始めているようです。「JASRAC独占、なぜ崩れないのか――JRCの荒川社長に聞く」にそうした情報が出ています。

 全く孤立した店で使われる昔のカラオケ装置なら別ですが、いまや全国のカラオケ・ランキングが集計されて流れる時代です。まして放送局ならプロが使う仕事ですから記録を残せない方がおかしいのです。使用料を受け取る権利者側にも、演歌偏重で公正な分配でないとの不満があると聞いています。

 ネットで語られた「JASRACの暴挙をまとめるページ(増田出張版)」がちょっと古いけれど色々な情報を集めています。ただし、信憑性は保証されていません。「週刊ダイヤモンド」の2005年9月17日付「企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック)」が官僚天下りの実態を明らかにして大きなインパクトを与えましたが、損害賠償の訴訟では1、2審とも敗訴しています。

 ひとつ、これはあんまりだと多くの方が思えそうなケースを。「いい加減にしろ、JASRAC!(ピアノバーに有罪とは‥)」は「ビートルズを弾いたピアノ演奏者がついに有罪判決を受けてしまった。著作権法違反だという。ここ数年、全国各地でジャズ喫茶が同様の方法で閉店に追い込まれている。違法といえば違法かもしれないが、いくらなんでも逮捕して有罪にするかねえ」と批判しています。音楽文化が広まり豊かになってこそ、楽曲を作りだした人たちの値打ちが高まるはず。権利者の代行者と称して潰して回ってどうするです。

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