どこまで泥縄!ソマリアへ海自護衛艦出航 [BM時評]

 アフリカ・ソマリア沖の海賊から日本関係船を警護するために、海上自衛隊の護衛艦2隻が14日、呉基地から出航しました。日本周辺を想定した「海上警備行動」ではるかアフリカ沖の海賊に立ち向かうことになりました。保護対象や武器使用権限の拡大などを定めた「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法案」(海賊対処法案)はようやく衆院に提出されただけで、ねじれ国会の情勢ですから成立の見通しはありません。昨年末に書いた「今回もちぐはぐ、海自艦ソマリア沖派遣検討」で案じた通りになりました。

 読売新聞の「ソマリア護衛希望2600隻…登録が殺到、調整困難か」が海自幹部は「大きさも速度も異なる商船団を護衛するのは大変なオペレーション。細部の調整が必要だ」と話していると紹介しているように、インド洋での補給活動のように現地に行けば済む話ではありません。大局も実務も麻生内閣は泥縄式です。

 「軍事評論家=佐藤守のブログ日記」の「海賊対策」が現地ではEU艦隊、米国中心の艦隊、中国とロシアなどの艦隊の3つがばらばらに活動していて効果が上がりにくいと説明しています。2月にあった勉強会で「この海域の作戦行動は、1、兵力不足。2、海賊の識別不可能。3、作戦調整機能が不備。4、情報共有の不備、で相当困難が予想されると川村氏は指摘する」と伝えています。

 また「真・保守市民の会」代表を名乗っていらっしゃる方のブログ「憲法9条を無視する政府」でも「果たしてこれは正しいのでしょうか? 麻生首相の決断は憲法違反なのでは?」との声があがるほどです。ブログでは賛否様々な意見が飛び交っています。

 今後、現地の海賊と交戦して武器を使ったり、死傷者を出す段階になったりしたら、戦後、平和国家として守られてきたことが破られてしまいます。国会できちんと議論をしないで送り出した禍根が問われることになるでしょう。