ブック検索著作権問題、Google期限まで半月 [BM時評]
グーグル・ブック検索について米国の裁判所で示された和解案に、世界のほとんどの国の著作権者が態度を決めなければならない期限が半月後の5月5日に迫っています。日本文藝家協会は15日になって「グーグル・ブック検索についての声明」を出して「今回の和解案は、私たち米国外の著作権者の協力できるような性質のものではないので、強く反対する」と抗議の姿勢を示したものの、「個々の日本の著作権者が後日になって回復しがたい不利益を蒙ることも懸念されるため、当面の最低限の防衛策として、私たちの会員や著作権管理委託者に、米グーグル社から提示された和解案に応じたうえで、個々のデータを削除する要求を選択するように勧める」と、和解からの除外・脱退は避けるとしました。
米国で起こされた訴訟の和解に米国外の著作権者が巻き込まれるのは、主にベルヌ条約に加盟しているためです。「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」は加盟国に他国の著作権者にも自国民と同じように遇することを求めています。結果として「米国と著作権関係を現在持っていない数国において書籍を出版し、居住または本拠地をおいていることが確実ではないかぎり、米国における著作権を有していると考えるべきでしょう」と、和解案を説明する「合衆国南ニューヨーク地区連邦地方裁判所通知書」は指摘しています。期限までに態度表明しなければ和解に応じるとみなされます。組織に属していない多くの著作権者は、なし崩しに和解に参加する事になるのでしょう。
和解案では米国で絶版になったり、市販されていない本を図書館などの協力でスキャンし、一部をブック検索で表示したり、書籍全体を見せるアクセス権を売ったり出来ます。米国で本を出版していなくても著作権を持つ意味があるわけです。ただし、それが出来るのは米国でのブック検索に限定されています。米国外からはアクセスできません。
同通知書には「Googleは、レジストリを通し、これらの使用によるすべての収入の63%を権利保持者に支払います。レジストリは、以下の問9(K)および10で説明される配当プランおよび著者/パブリッシャー手続きに基づきそれらの収入を権利保持者に分配します」とありますから、国内の印税10%に比べて破格の好条件になります。
もちろんグーグルは米国外に広げることも狙っているようです。「Google ブック検索和解契約」は「この和解契約は米国における訴訟の解決となるもので、和解契約の影響を直接受けるのは、米国内でブック検索にアクセスするユーザーのみです。米国外におけるブック検索の機能は和解契約による変更はなく、これまでと全く同一です。しかし、Google では将来的には各国の業界団体や個々の権利者と協力して、この和解契約がもたらすメリットを世界中のユーザーに広めたいと考えています」と表明しています。
ブログでの解説としては「グーグル『ブック検索』和解は作家と出版社の関係を見直す好機」(海難記)が「これまで自分たちの著作権管理をまともにやりもせず、いわば出版社に丸投げしておいて、しかも新しいメディア環境における著作権のあり方についてきちんと状況分析もしないままで、ヒステリックに『抗議』すれば済むと思っている日本文藝家協会のあり方はじつに救いがたい」と、国内の状況を批判しています。
国内の「ブック検索」はどうなっているのでしょうか。個別に版元の許可を得て、本の一部を閲覧できる仕組みにしています。「インターネット」で引くと1857件、「女」なら1908件です。まだまだ大した収録数にはなっていません。米国の場合、フェア・ユースと呼ぶ著作権を侵害しない利用行為がかなり大きく認められており、グーグルは著作権が生きている本にも、それを使って大規模なブック検索を構築しています。同じブック検索を名乗っても、日米間の落差はさらに拡大することになります。
米国で起こされた訴訟の和解に米国外の著作権者が巻き込まれるのは、主にベルヌ条約に加盟しているためです。「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」は加盟国に他国の著作権者にも自国民と同じように遇することを求めています。結果として「米国と著作権関係を現在持っていない数国において書籍を出版し、居住または本拠地をおいていることが確実ではないかぎり、米国における著作権を有していると考えるべきでしょう」と、和解案を説明する「合衆国南ニューヨーク地区連邦地方裁判所通知書」は指摘しています。期限までに態度表明しなければ和解に応じるとみなされます。組織に属していない多くの著作権者は、なし崩しに和解に参加する事になるのでしょう。
和解案では米国で絶版になったり、市販されていない本を図書館などの協力でスキャンし、一部をブック検索で表示したり、書籍全体を見せるアクセス権を売ったり出来ます。米国で本を出版していなくても著作権を持つ意味があるわけです。ただし、それが出来るのは米国でのブック検索に限定されています。米国外からはアクセスできません。
同通知書には「Googleは、レジストリを通し、これらの使用によるすべての収入の63%を権利保持者に支払います。レジストリは、以下の問9(K)および10で説明される配当プランおよび著者/パブリッシャー手続きに基づきそれらの収入を権利保持者に分配します」とありますから、国内の印税10%に比べて破格の好条件になります。
もちろんグーグルは米国外に広げることも狙っているようです。「Google ブック検索和解契約」は「この和解契約は米国における訴訟の解決となるもので、和解契約の影響を直接受けるのは、米国内でブック検索にアクセスするユーザーのみです。米国外におけるブック検索の機能は和解契約による変更はなく、これまでと全く同一です。しかし、Google では将来的には各国の業界団体や個々の権利者と協力して、この和解契約がもたらすメリットを世界中のユーザーに広めたいと考えています」と表明しています。
ブログでの解説としては「グーグル『ブック検索』和解は作家と出版社の関係を見直す好機」(海難記)が「これまで自分たちの著作権管理をまともにやりもせず、いわば出版社に丸投げしておいて、しかも新しいメディア環境における著作権のあり方についてきちんと状況分析もしないままで、ヒステリックに『抗議』すれば済むと思っている日本文藝家協会のあり方はじつに救いがたい」と、国内の状況を批判しています。
国内の「ブック検索」はどうなっているのでしょうか。個別に版元の許可を得て、本の一部を閲覧できる仕組みにしています。「インターネット」で引くと1857件、「女」なら1908件です。まだまだ大した収録数にはなっていません。米国の場合、フェア・ユースと呼ぶ著作権を侵害しない利用行為がかなり大きく認められており、グーグルは著作権が生きている本にも、それを使って大規模なブック検索を構築しています。同じブック検索を名乗っても、日米間の落差はさらに拡大することになります。